第14話 ずっと・・・

「なあ、成美」

「何?」

「チャリどうすんの?また買うの?」

「だってチャリ通だよ。買わなきゃ」

「ふーん」


「どうして?」

「別に。出てくれば良いけどな」

「いや…多分…無理だと思う。登録つーの?してなかったし」

「あー、盗難登録な」


「そうそう、それ!だけど、あれって意味あるのかな?結局、出てきたりとか見付かったりとかって聞いた事ないんだよね~」


「日頃の行いの問題じゃね?」


「じゃあ、私のチャリは戻ってくるかな?日頃の行い良いし」


「どうだか」


「酷っ!もうっ!どうしてそうやって意地悪言うかな?勇史、チャリ買うまで私の送迎だかんね!」


「良いけど」



ドキッ



「えっ?あっさり過ぎなんだけど…」


「別に送迎位、どうって事ねーし。第一、お前乗せてからの送迎何度したと、お思いですか?赤河 成美さ~ん。何なら卒業するまで送ってやっても良いけど?」


「えっ?……いや…それは……」

「何だよ。ご不満ですか?」


「ち、違っ!べ、別に不満じゃないけど……。それは…正直…ずっと勇史の背中抱きしめていたいけど……」


「抱きしめてれば良いじゃん」


「ちょ、ちょっと勇史、軽い気持ちで言ってるでしょう?そんな簡単に言わないでよ!」



「…………」



「ちょっと勇史、聞いてる?私はマジなんだよ!性格はよろしくないかもしれないけど、恋の1つや2つしてマジ恋してんですっ!」


「知ってる。キスして慰めたし」


「……慰めのキスとか……そんなキスはキスに入んないよ……」



「………………」


「じゃあ、お前は、どんなキスが、お望みなんですか?」



「ど、どんなキスって…言い方…やらしいよ…」



クスクス笑う勇史。



「用は捉え方の問題じゃね?そうもっていくお前がエロすぎなんだよ」



かあああっと熱くなる。



「も、もうっ!バカっ!エロいとか、平気で言うなっ!」


「慰めのキスとかキスに入んないとか言うし」


「う、うるさいなっ!チャッチャッと漕いでよ!チャリっ!」


「漕いでるし!」

「じゃあ、黙って漕げっ!」

「あー、もうっ!」



キーーっ!


ブレーキをかける勇史。



「ちょっと!勇史、何して…」




グイッと私の手を掴み自転車からおろすとキスをした。



ドキッ


唇が離れ至近距離で



「後ろでゴチャゴチャうるせーんだよ!お前こそ少しは黙ってろっ!バカ成美っ!」



抱きしめる勇史。



「告白もまともに出来ねぇくせに意地ばっか張りやがって!」


「…えっ…?」


「お前の気持ち知ってた…敏基と話してんの聞こえてたから…」



ドキッ


≪嘘…やっぱり聞かれて…≫



「俺、そん時、付き合っている彼女、友達からだったけど…気になる奴いる事、知ってもらってる上で付き合ってて…そうしたら…敏基といる所を見掛けて、敏基、俺の気持ち知ってどういうつもりだ?ってすっげー嫉妬してた」



「…えっ…?」



≪じゃあ…あの時、敏基が言おうとしていた事って……≫



「つまり、そう言う事だから……ほらっ!帰るぞ!」



「……うん……」



≪つまり私達、相思相愛にいつの間にかなってたって事?≫




私は勇史の背中をぎゅうっと抱きしめながら顔を埋めた。



「……勇史……好き……」

「……ああ…俺も……」



ドキン



「だから…ずっと俺の背中抱きしめてな」

「うん…」

「俺の隣も後ろも背中も全部お前のもの」

「じゃあ、時々、背中に落書きしてあげるね♪」

「どんな落書きだよ」

「言葉に出来ない落書き」

「ある意味エロい」



私達は笑う。




私達の想いは


背中で通じ合える


彼の背中を


ずっと


抱きしめていて


良いよね?






あなたの背中を抱きしめて・・・ ~ Fin ~














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あなたの背中を抱きしめて・・・ ハル @haru4649

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