ロボットの操縦と描写
米軍のとある原子力潜水艦では、潜望鏡の操作にゲーム機Xboxのコントローラーを使っているとか。
これには従来のジョイスティック(およそ38,000ドル)からのコスト削減や軽量化、テレビゲームに馴染みのある若い船員の訓練の効率化と言った合理的な理由が多々ありますが、やはりいざ聞かされると驚きを禁じ得ません。
しかし、それこそアーマード・コアからドラクエ、果ては音ゲーまでこれ一つで対応出来るゲームコントローラーと言うものは、意外と万能の操縦桿なのかも知れません。
そのアーマード・コアにしても、脚部ひとつ取っても、オーソドックスな二脚タイプから、四脚タイプ、戦車のキャタピラ、
パイロットがどの脚部を選定するかわからない上では、
(二脚でも四脚でもキャタピラでも、同じ操縦桿で動かせなければならない)
しかし、現実にゲームパッドで潜水艦や戦車が動いている一方、物語で同じ事をすると安っぽく見えそうなのが、まさしく事実は小説より奇なりと言った所でしょうか。
前置きは長くなりましたが。
ロボットものの操縦方式にも、いくつかパターンがあります。
今言及した、操縦桿やスイッチ、モニタがずらりと並んだ、飛行機のようなコックピット。
または、パイロットと機体が接続され、動きを直接トレースさせるもの。(パイロットがパンチすると、機体がそれに倣ってパンチする)
その他では、脳波コントロールで考えただけで動かしたり、機体に乗らず外からリモコン操作するパターンも稀にあるようです。
それぞれ、小説の描写としての利便性を主眼に考えていきます。
●飛行機のコックピットみたいな方式
恐らく最もポピュラーな方式でしょうか。
飛行機や建設重機が現実に存在する事もあり、何となく想像しやすいのも強みでしょう。
反面、パイロットの動きをしっかり描写してしまうと、文のボリュームがとんでもない事になってしまいます。
あまつさえ、機体そのものの動きも並行して書かねばならないので、テンポが大変悪くなるでしょう。
その為か、ガンダムシリーズ等のアニメでは、戦いは機体の動き・感情的なやり取りや議論はコックピット内の描写できっちり描き分けられていた印象です。
アニメの場合は映像なので、さりげなく操縦桿やスイッチなどをチラ見させる事が可能なのも大きいでしょうが。
同じガンダムシリーズでも、初代の機動戦士ガンダム、逆襲のシャア、∀ガンダムではコックピットのデザインも結構違ってたりします。
地味ですが、こう言う内装のデザインで作品のセンスに差がつくことも往々にしてあると思います。
話は少しズレますが、中世ファンタジーの鎧なんかも、きちんと作り込んでいるか、デザインにこだわっているかで第一印象が変わってきます。
軽く調べた感じ、旅客機などはコンピュータ(オートパイロット)の補正に依存する部分が結構多いようです。
https://gigazine.net/news/20160219-emergency-piloting/
万が一、乗っている飛行機のパイロットが二名とも失神したようなピンチに放り出された時には、覚えておいて損は無いかも知れません。
以前、こちらで取り上げた、
https://kakuyomu.jp/works/16816452218321983797/episodes/16817330658085153445
火器管制システムも、人間が判断し、コンピュータの補正すると言う意味では同様かなと思われます。
●トレース方式
これによるメリット・デメリットは、ちょうど飛行機みたいな方式とは真逆になるかと思われます。
基本的に、パイロットの身体の動き=機体の動きとなる為、コックピット内で操作する描写はほぼ不要となります。
それこそ、感情のやり取りや議論で必要な時だけ、パイロットの顔をアップで描写するくらいで良くなる筈です。
むしろ、操縦の様子を描写する余地があまりなく、端から見るとシュールな絵にすらなってしまうかと思われます。
また、身体の動きが機体の強さに直結している以上、自然、パイロットのキャラクターデザインが武闘派になりやすい筈です。
●脳波コントロール方式
トレース方式と重複する所が多そうですが、こちらは更にパイロット自身の動きが乏しくなります。
動的な描写は、機体のそれだけに絞れる事でしょう。
反面「所詮は人間程度の反射神経が限度」とも言え、これ単体での精度や処理速度は、コンピュータの補正には遠く及ばない事でしょう。
また、機体とは独立して動く
このガンダムのファンネルの場合は、飛行機みたいな方式と脳波コントロール方式を両方使っているとも言えるでしょうか。
勿論、子機ごとにAIが搭載されていて全自動で動いてくれるタイプもある筈ですが……と言うか普通は戦いながら子機を操作させられる方が疲れる事でしょう。
●リモコン方式
鉄人28号やジャイアンとロボなどの、操縦者が外から操作しているパターンです。
パイロットの一人称視点を採用するにしても、三人称視点を採用するにしても、必然的に戦闘現場から一歩引いた位置からの描写になるでしょう。
とは言え、リモコンを奪われた場合の争奪戦のついては一転して操縦者が中心になります。
切り札のロボットがそのまま敵に変わってしまう事によるスリルも表現しやすいようです。
現実的に考えると、リモコンのセキュリティを突っ込まれかねない所でもありますが。
●音声認識
軽く調べた感じ、音声認識で操作するケースもありました。
トレース方式や脳波コントロールに比べて、レスポンスがあまりにも悪いであろう事は想像に難くありませんが……あるいは、それを逆手にとって新しいロボットの操縦方式を何か考案する余地もあるのかも知れません。
今、何となく、交戦前にあらかじめ動作をインプットしておくような操縦風景が思い浮かびました。
これだと、自作の“若手とシニアと~”の擬似ターン制バトルと被ってる感もありますが。
あとは、機体が正確にそれを理解できる前提ではありますが、やはり、機械に対する人語の強みはアナログな点であり、ファジーな命令がしやすそうではあります。
小説的には、機体への命令のために、会話文が嵩みそうな予感がありますが。
また、必殺技を殊更叫ぶ理由付けとしても用いられるようです。
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