合体メカあれこれ

 ゲッターロボや戦隊ものに出てくるような、アレのことです。

 次回作で使う可能性は低いものの、どんなアイディアに発展するかもわからないので、勉強してみる事にしました。


 まず、現実的な構造について。

 ここで何度か繰り返して来ましたように、特に、複雑な可変機構を備えていたり、着脱可能な接続部と言うのはどうしても防御力が低くなってしまうものです。

 スーパーロボット大戦などのゲームでは、それこそゲッターロボなどが合体すると、鉄壁の守備力が完成するわけですが。現実的には、バラバラな方が安全性は高い筈です。

 合体して初めて展開できるバリア、などあれば、解決出来るのかも知れませんが。

 合体……と言うより、逆に五体のパーツを自在に分離できる事例として、∀ガンダムに登場するターンXがあります。

 この機体は、強力な(確か作中のあらゆるビーム兵器を防ぎ切る程の)対ビームフィールドを常時展開しているので、元々の防御力が極めて高ければそこまで気にする事も無い……のかも知れません。

 また、Ζガンダムに出てくるGディフェンサーのように「追加武装を戦闘中に本体へ輸送する」など、目的がはっきりしていれば納得もしやすそうです。

 この場合、重武装化と引き換えに、取り回しや装甲性の悪化を受け入れている筈なので。(※1)

 

 スーパー戦隊やゲッターロボのような、一機を動かすのに複数人の乗員が関わる場合の難しさも(現実的な連携も、小説的な文章のボリュームとしても)気になる所です。

 実際の戦車でも、一台を走行・砲手・装填・指揮官の四人で運用するものが主だそうですが、それは比較的遠距離からの撃ち合いと言う攻守のスパンが長いから成り立っているのでは、と思います。

 近距離レンジの機銃や、ともすれば剣やビームサーベルによる白兵戦を行う人型ロボットを複数人で操作するとなると、連携は困難を極めると思われます。

 逆説的に、そんな芸当を可能とするならば「チームの心をひとつに!」と言う表現に、もっともな説得力を与え得るとも思われますが。

 

 合体メカが用いられる理由付けとして、政治的、法律的な抜け道と言うケースもあります。

 例えば完成した機体を敵国の支配下にある場所へ持ち込もうとすればたちまち捕まってしまいますが、バラバラにしたものを「建設重機や工業機械のパーツだ」として搬入し、現地の工場で組み立てる。

 これによって敵地の只中でロボットを起動させる事が可能となる寸法です。

 実例としては、レジスタンスがそれを行ったVガンダムが有名でしょうか。(と言うより、他のケースを私は知りませんが) 

 この場合は、独立した数機が合体すると言うよりも元々一機だったものを組み立てているだけなので、連携などについてはあまり悩まなくて良さそうです。

 また、「政府や体制側に、工業機械と偽れる」くらいに量産ラインが確立しているとするなら、予備のパーツも調達しやすいメリットがあるでしょう。

 多少、腕とかもげても翌朝には元通り。

 

 ただ、無粋な事を言えば、パーツごとに工場が違うのは危うい面もあります。

 パーツとパーツの互換性や接続部分の構造を、全く別の場所にある工場同士で共有しなければなりません。

 つまり、仮に通信技術を現代レベルに想定したとして、工場の関係者が他工場の別パーツを目視したり触ったり出来ないまま、自分達の担当するパーツを作る事となります。

 仕様そのものを共有するのは容易だと思われますが、問題は人の手を入れる時点で、工場単位・作業員個人単位での“癖”が、細部や仕上げに現れる筈だと言うことです。

 つまり、工場Aで作ったものの接続部と工場Bで作ったものの接続部が微妙に噛み合わず、脆くなったり、最悪の場合、本来の目的だった合体すらままならない事にもなりかねません。

 その昔、拳銃のルガーP08が、まさにこのパターンで製造過程のトラブルが頻発したそうです。

 腕の良い職人の手作り、と言えば聞こえは良いですが、その職人の各々が好きなように仕事をしてパーツ間のすり合わせをおこなわないと、こうなってしまうのです。

 そして、パーツごとに建物が違うというのは、そのすり合わせが困難である事も意味するのです。

 ここまで訳知り顔で言っておいてあまり詳しくないのですが、大手の自動車工場とか、どうやっているのだろうかと個人的に気にはなります。


 身も蓋もない事を言ってしまえば、強いて合体メカが登場する理由とは、おもちゃやプラモデルを売り出す為でもあると思われますが、アイディアの呼び水としてもなかなか侮れません。

 合体メカの話とはズレますが、Vガンダムの放送直前にスポンサーのおもちゃメーカーからの要求にキレた監督がバイクのタイヤを備えた戦艦を考案したら結果的に名場面(※2)の誕生にも繋がって成功したと言う事例があります。

 また、パトカーや消防車が合体して人型ロボットになる、ジョブレイバーと言う児童向けアニメなんかも、現実的に戦闘に堪えるものではないであろう事は明らかですが、対象となる児童が喜ぶ大義の前では些末な問題なのでしょう。


(※1)

 追加武装を渡した後に、自らは離脱するコンセプトのものを“合体”と言うべきかは微妙ですが。

(※2)

 “地球クリーン作戦”という、地上の建物や人間を、このバイク戦艦で無差別に踏み均すシーン。

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