バランス型にこそ長所が必要である
半ば個人的なRPG歴の話と化しておりますが。
ネットゲームを卒業した後、長年、ゲームそのものから離れておりました。
しかしほんの五年前くらい、我が家にプレステ4がやってきました。
最初に出会ったキャラメイク制のゲームは、ダークソウル3でした。
この辺の経緯は別項でも説明しましたが、RPG世界の“自分”像=ヒーラー(僧侶系)と言う自認が固まっていた頃だったので、このゲームにおいてもそれを踏襲したビルド(育成)でプレイしていました。
https://kakuyomu.jp/works/16816452218321983797/episodes/16816927863211283305
しかし結論から言うと、このゲームにおいては最終的に、再びバランス型のステータスになりました。
大まかな理由としては、
・レベル上限がなく、根気さえあれば全能力カンストも可能である事(※1)
・基本的に一人プレイを想定したゲームであった事
・各能力値には成長曲線があり、カンストにすると損が出る=ある程度、バランス型が推奨されているゲームデザインであった事
この三つが挙げられます。
このうち三つ目の能力値の仕様について、もう少し詳しく説明すると、
例えば“生命力”の値を上げると、HPが増えます。
例えば生命力を9→10にあげたとします。
するとHPは22増えます。
生命力:27までは、上げれば上げる程、HPが伸びます。
しかし、この27をピークとして、28以降から生命力1あたりのHP上昇値が少しずつ減ってきます。
これが生命力:45になると、1レベルにつき上昇値がたったの+9と、一桁にまで落ち込みます。
確かに生命力が27で終わるより99あった方が圧倒的にタフではあります。
しかし同時に、生命力の為に支払ったステータスポイント1の価値が、他の発展途上のステータスに振り分けた時よりも損をしてしまう事も意味します。
ここで、生命力へのポイント分配を、
最も費用対効果の良い27で止めるのか?
逆に、効率が初めて底辺に達する45で止めるのか?
トータルで損をしてでも80台や90台まで上げるのか?
と言う選択肢が生じます。
あるいは、
ボスの必殺技が直撃しても耐え抜けるだけのHPが欲しいのか?
道中の雑魚敵から多少被弾しても問題なければそれで良いのか?
プレイヤーの手腕で全部回避するものとして、攻撃力にポイントを回すのか?
何のために生命力が欲しいのか。もしくは、生命力以外のステータスが欲しいのか。真剣に検討する必要が出てきます。
また、このゲームにおいてヒーラー(僧侶)タイプにとって最重要であろうステータスは“信仰心”です。
これは僧侶系魔法を使うにあたっての要求レベルとして参照されたり、回復魔法の効果量だったりに影響します。
そして、これまでご紹介してきたネットゲームと違って、僧侶系魔法にも充分な威力の攻撃術が用意されています。
つまり、僧侶タイプのビルドでは、極論“信仰心”さえあれば、攻守が揃ってしまうのです。
一応、オンラインでのマルチプレイがあるとは言え、基本的には一人でクリア出来る前提のバランスで作られたゲームだからです。
ネット環境の無い人はクリア不可、では色々と問題があります。
つまり、私からすれば、ネットゲームで万能型は成立しない事を学び“自分”像をヒーラー特化として自認していた所が、逆にオールラウンダー型の自キャラに回帰する事になりました。
尤も、近接戦闘も攻撃魔法も、本職の戦士・魔法使いには、やはり数歩及ばないものではありましたが。
そして、世界が変わると一転、私にこのシリーズの僧侶系は向いていなかった事を最近理解したのは、先述のリンク先に書いてある通りです。
それはさておき、バランス型にも強いものと弱いものがあると考えます。
前回挙げたサマルトリアの王子もそうですが、本当にただ能力がフラットなだけでは、どの局面・どの立ち位置でも決め手になれない事を意味します。(※2)
結局の所、バランス型の中でも、何か一つか二つ、比較的得意な分野を確保する必要があるのでは? と思います。
実際の仕事においても、本来の業務以外のスキルがあれば助かることもあります。(パソコンや、フォークリフトの操作など)
しかし、やはり最も求められる能力は、本業の仕事に貢献できるかどうかでしょう。
故に私は「普通の仕事」と言うものは基本的に存在しないと考えます。
どんな仕事でも、何かしらその為に適応・特化する事を求められるものです。
誤解を恐れずに言えば、私の勤める会社において、本業外の仕事と言うのは「その間、持ち場から抜けてもダメージが最小限で済む人員」に振られています。
最初は正社員の間で公平にローテーションされていたのですが、忙しくて人手に余裕がなくなってくると自然にこうなる、非情な現実です。
業務外のスキルを持つ事とイコールだと言っているわけではないのは、くれぐれも誤解無きようお願いいたします。
話をゲームに戻します。
例えば、先のダークソウルでのヒーラーで言えば、“信仰心”を80まで上げた上で、筋力や生命力、技量など他ステータスのバランスを取るのがセオリーとなります。
また、ペルソナ4で仲間の一人である花村陽介などは、強いバランス型の好例かと思われます。
・パーティでトップクラスの“速さ”ステータス
・強くて広範囲の攻撃魔法(風属性)、および“魔力”のステータス
・強力な必殺技、および“筋力”
・前衛として充分な“体力”とHP
・充実したバフ&デバフ、状態異常の魔法
・単体対象のみとは言え回復魔法も可能
作中、重要と思われる特長から順に並べました。
雑魚戦では敵の弱点属性を突くのが重要なゲームなので、先手を打って高威力の範囲魔法を撃てると言うのが、先述で言う所の「確保された長所」です。
この一点だけでも充分に価値がある上で、風属性の効かない相手には物理攻撃や状態異常魔法、あるいは素早さを活かしての、アイテムや回復魔法による救護に切り替える対応力が、正しい意味での“良バランス”ともなっています。
前回ご紹介した私がツクった自キャラと違って、攻撃魔法と必殺技もきちんと棲み分けされているのが素晴らしい所です。(必殺技の方は単体に大ダメージ、かつ、消費リソースがHPである事が、攻撃魔法との差別化になっています)
さて、このペルソナシリーズも、レベルアップごとに貰えるステータスポイントと言う「限られたリソース」を配分して成長とするゲームです。
にも関わらず、ここまで述べた彼の能力に欠点らしい欠点がなく、胡散臭く思えますが……ステータスの中で“運”だけが極端に低いと言うオチが付いています。
全体的に高くまとまったステータスの源泉は、ある意味でこの運の低さにあったわけです。
そしてこの“運”と言うステータス、正直私の記憶も曖昧なのですが、逃走の成否や状態異常の被弾確率、クリティカルの発生率など、割合地味なものでした。
実害の程としては決して軽くはないのですが、魔力や体力が低いよりは目立ちにくい欠点だったとも思います。
私の記憶がやや曖昧な点からも、プレイしていてそこまで気にならなかったから、とも言えます。多分。
もう一つ、市販のゲームで印象的だったバランス型キャラクターが、アークザラッド2の主人公・アークです。
地水火風の精霊を使役し、剣と鎧で武装すると言うオーソドックスな“勇者”と言ったいでたちの彼ですが……このゲーム、それぞれの特化タイプが強すぎて、剣でも魔法でも他の仲間に遅れを取っているのが実情でした。(シナリオ的な設定は別として)
そのままでは、サマルの二の舞となる所でしたが、ある意味でそうはなりませんでした。
一つ、回復魔法の性能が非常に高かった事。
もう一つは“ウィークエネミー”と言う「範囲内の敵全てをレベル1/4相当に弱体化させ、あまつさえ、それが必中」と言う、強力極まりないデバフ魔法を持っていたからです。
これらの事から巷では“回復勇者”だの“前に出ない勇者”だの、不名誉な呼び名を付けられ、ネタ扱いされるに至りました。
恐らく、少なくともシナリオや人物設定の担当者にとっては想定していなかった種類の強さかと思われますが、オフェンス面で華々しい活躍が見込めないと、平成初期のちびっこからネタ扱いされたと言うのは、前々回挙げたクロコダインに通じるものがあります。
しかし、ウィークエネミー(次点で回復魔法)と言う最大の長所を引っ提げている時点で、微妙な筋力や攻撃魔法は「手札が多い&削りには使える」と評価出来、微妙な体力も「後衛を一瞬守る程度にはタフ」とも評価出来ます。
まさしく、ウィークエネミーこそが、アークを出撃させる動機を支える、後ろ楯とすら言えるでしょう。
そんなわけで、改めてまとめると。
バランス型キャラクターこそ、オールラウンダーとしての起点となる“長所”が必要であると言う事でしょう。
そして、いかにオールラウンダーとは言っても、身体は一つしか無い事も忘れてはなりません。
私がツクった自キャラも、実際に動かしてみるとバフや回復役ばかりに回っていた印象でした。
単発で最強威力の攻撃魔法や必殺技を持っていたとしても、仲間のそれで事足りてしまえば、仲間が持たない回復役にポジションが移るのも必然だったのでしょう。
戦力としては、どっちも出来る存在が一人居るより、半々ずつ持ってる存在が二人居たほうが強いのです。
(※1)
オンラインプレイの公平性については、近いレベル(+装備の質)同士のプレイヤーでしかマッチング出来ない事で保たれています。
この為、最も人口割合の多いレベル100前後で止めて、ポイントをやり繰りするのが主流であったようです。
また、頑張って全能力カンストしたとしても、死ぬ時はあっさり死にます。
(※2)
後で調べ直した所、サマルが弱いのは、当時の開発チームに時間的な余裕がなく、テストプレイが満足に出来なかった事も理由としてあるようです。
リメイクではかなり修正されたとの事で、元々ザオリクやメガンテなど、他の二人には出来ない有効な戦術も擁していたので、ネタ扱いされているのは半ば誇張もあるようです。
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