異世界に転移したらエルデンリング(死にゲー)でした ~ヒーラーやめて魔術師になった話とか前衛後衛の向き不向きとか~

 近況ノートともかぶるのですが、フロム・ソフトウェアの新作死にゲーオープンワールドRPG“エルデンリング”をはじめました。

 今まで、幾度と無く引き合いに出して来た、同メーカーのダークソウルやブラッドボーンはステージクリア型に近く、順路はほとんど決まっていました。

 しかし、このエルデンリングはオープンワールドになった事で世界を自由に渡り歩き、好きな時に好きな場所で好きな敵に挑んで返り討ちに遭う事が出来るのです!(※1)


 さて、こうしたタイプのゲームには、プレイヤーキャラクターを自分で設定する、キャラメイクが付き物です。

 自分を投影した分身なのか、小説を書く時のように全くの別人を空想して作るのか、はたまた攻略サイトを頼りにした最適解を選ぶのか。

 主人公をどうデザインするかの感覚は人それぞれかと思われますが、私は「自分がこの世界に入ったらどうするのか」と言う分身のつもりで作っています。

 

 基本的に私がファンタジー世界に行った場合、最優先で回復魔法を覚えに行きます。

 近況ノートでも書きましたが“神官戦士”だったりヒーラーの能力が理想的だと考えています。

 重すぎず軽すぎずの軽い鎧を装備し、いざと言う時に護身以上に戦える程度の武装もしておく。

 自己強化バフ魔法を伸ばしつつ、余裕がある時に副武装として攻撃魔法をある程度修める。

 ヒーラーとして仲間との共闘を主眼としながらも、ある程度自分一人でも様々な状況に対応できるように手札を揃えておく。

 とにかく最強だとかどうでも良いので、自分の生存が第一。そして、自分が死ぬリスク要因を一つでも多く潰す事です。

 ホイミスライムなどは、自衛能力の無いヒーラーの最たる例でしょう。代わりに戦ってくれる仲間がやられてしまうと、その時点で詰みになってしまいます。

 過去に何作かやっていたネットゲームでも、大抵はこうした僧侶系を自キャラに選んでいました。


 私自身が瞬間的・動作的な判断を若干苦手としている事は、この創作論でも何度か触れてきました。

 それらを仲間に任せ、一歩引いた位置から戦場を見渡せるポジションが、やはり合っています。

 ファンタジー世界の向き不向きは、自分や仲間の生き死にに直結するので、なおさら適職の把握は大事だと思われます。

 

 しかし。

 前作のダークソウル3でも、僧侶タイプで育てて行ったのですが、これがまるで巧くいかない。

 原因はまあ、火を見るより明らかです。

 このゲーム、基本的に単独行動で攻略し、仲間と徒党パーティを組む敷居が結構高いのです。

 味方NPCを一時的に喚べるスポットは限られており、ボス戦一回終わったらそこでお別れになる場合が多い。

 オンラインでのマルチプレイも私の生活習慣ではまず難しいものがあります。

 そんなわけで、ボスに決定打を与えるには自分が懐に飛び込んで近接戦闘を仕掛けるしかありません。

(僧侶の攻撃魔法もあるにはありますが、当然、魔法使いのそれには及びません)

 特に、同シリーズは見上げる高さの巨大モンスターも多く、かつ、大抵の強敵は俊敏な動きで襲ってきます。

 敵の身体の全体像すら捉えきれないドアップの間合いで、半狂乱になりながら武器を振り回す。

 敵の予備動作などから、特に危険な攻撃を予測しなければならないのに、そんな有り様では完全にカモとしか言いようが無いでしょう。

 むしろ、ダークソウルとブラッドボーンを一応はクリアできた事が、今となっては不思議でなりません。

 

 そして今回のエルデンリング。

 自分にこのシリーズの僧侶系が向いていない事を薄々感じていたので、今回は魔術師として育成してみました。

 このシリーズの魔術師も、そのステレオタイプの例に漏れず、防御面が最も脆弱なクラスです。(※2)

 しかし、それだけに「いかに接近されずに遠距離の間合いを維持するか」と言う事が要求される……そしてそれは、私が本来得意とする間合いの維持も意味します。

 事実、これまで僧侶系でやっていた時から打ってかわって、敵の動きが良く読めるようになり、あまり被弾しなくなった思います。

 正直、縦横無尽に大暴れする敵の動作を遠距離から眺めながら「武器持ってあそこに飛び込んだら、テンパって瞬殺されるな……」としみじみ考えながら戦っています。

 第一、魔術師の装甲が脆いとは言え、このシリーズでタコ殴りにされるような状況に陥っている時点で、フルアーマー甲冑装備でも容易に死んでしまうゲームバランスであるので……。

 魔術師の攻防はハイリスク・ハイリターンでもあるので、一回あたりの勝敗がすぐに決まってストレスも軽く済む、メタ的なメリットも感じます。


 一口にファンタジー世界への転移とは言っても、設定やパワーバランス次第で、同じ人間の得意分野がこうも変わってしまうようです。

 もしフロムの死にゲーの世界に転移する機会があったなら、私は魔術師になった方が良いのかも知れません。

 いや、あの世界、死んでも行きたくはありませんが。

 それでも、ゲームにはない「永続的な肉体欠損」が生じ得ると考えた場合(そしてそれを治すだけの性能があるなら)やはり、回復魔法はキープしておきたい所です。

 

 そして、前衛後衛の向き不向きと言うのは、運動神経の有無に近いものがあると思います。

 これまでも何度か、動作性&言語性の、二つの“知性”について触れてきました。

 恐らくファンタジー世界におけるムキムキマッチョで大斧を担いだ戦士と言うのは、動作的に頭が冴える人なのでしょう。

 勿論、生まれもった体格に恵まれたから、と言う動機で戦士を選ぶケースもあるかもしれませんが……前衛の戦士こそ、賢くなければ長生きは出来ない事でしょう。

 身体が強靭だから近接戦闘に向いているのではなく、近接戦闘に適したセンスがあるから身体を鍛える、と言うのが自然なのかも知れません。

 ゲームと実戦を同じにしてはいけませんが、ソウルシリーズの大型武器こそ、魔術よりもよほど慎重な立ち回りを要求されます。

 武器が重く、モーションが大振りになるので、常に無防備をさらしながら戦っているようなものだからです。

 軽い武器……特に、盾と併用出来るようなものであれば、大型武器よりは遥かにリカバリーも利きやすい事でしょう。

 

 とにかく、私個人は、ヒーラーが得意なのか魔術師が得意なのか、ゲームのタイトルで大きく変わってしまうようです。

 あるいは、別ゲームのルール下では前衛の方が向いている事も、あるかも知れません。

 戦士は粗野で、魔法使いはインテリ。

 そうした先入観やステレオタイプを捨てて「自分ならこの世界でどうするか」と考えると、また違ったものが見えてくるかも知れません。

 

(※1)

 真面目な話をすると、各地でボコボコにされた相手に少しずつリベンジは果たして行っています。

 最初に大きな壁が立ちはだかりつつもトライ&エラーが報われると言うシリーズの良さは、しっかり受け継がれています。

(※2)

 基礎ステータスは自由に伸ばせるので、タフな魔術師と言うのも可能ではあります。

 ただ、魔法攻撃力だったりMPだったり、詠唱速度だったりにリソースが割けなくなりますし、装備できる武具はステータスに大きく依存するので(例えば堅牢な鎧を着込むと言う事は、魔力を高めるローブを諦めねばならない等)

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