友情に命は懸けられるか 補足
前回、文字数だったり、ややこしくなりそうだったり、私の人格を疑われそうな毒を含む物言いだったりと言う理由で掲載を見送った分をここに書き連ねます。
特に、最近の「ブラック前職」「リアル追放リーダー」あたりに辟易としてきた方は読み飛ばしをおすすめします。
特にリアル追放リーダーについては、はからずも創作論との親和性が非常に高いのです。
●ネットゲームで起こった友情トラブル
そんなわけで一番手は、私が過去にプレイしていたネットゲームのお話です。
リアル追放リーダーについては、興味のある方はこちらをご参照下さい。
https://kakuyomu.jp/works/16816452218321983797/episodes/16816700426555147773
近頃のネットゲーム事情だとかVRMMO系小説の事には疎いのですが、先日の何だったかのテレビ番組で某ソードアート・オンラインが映画化したと言う話題を見掛けたのでタイムリーかも知れません(適当)
まず前提として。
ネットゲームには「育成の手伝い」だとか「レベリング」だとかがあります。
早い話、初心者だとか、誰かが新たなキャラクターを一から作ってスタートした場合、知り合いがレベルの高いキャラクターを持ってきて敵の囮になり「経験値の高い=遥かに格上のモンスター」を安全に倒させる事で効率良く育てる行為です。
あるいは、回復魔法やバフ(補助魔法)を無償で掛け続けます。
当然、報酬が無い限り、保護する側のプレイヤーにメリットはありません。自分の時間を割いて、他人のレベル上げに付き合う格好です。
「仲間が居れば、金も経験値もいらねえ!」
そう言って当たり前のように(同調圧力で)無報酬のレベリングが横行していた当時の風潮に、私は嫌気がさしていました。
そもそも、スキルを使うのに弾丸や魔法触媒を大量に使う人も居るわけで、手伝って貰ったなら貰ったで、戦利品の分配でその補填くらい努力するのが社会常識だと思うのですが、それすらも「適当で良いんじゃない」とされていたのです。
経験値が貰えない人に、他の分け前で救済する事が充分可能であるにも関わらず、それを面倒臭がるのは“仲間”のする事なのか、甚だ疑問でした。
……と言うわけで、ここまでが前提です。
さて、そのゲームで新エリアが実装された時の事です。
件のリーダーが「新エリアの景色を見に行く。ついでにみんなのサブキャラも育てば良いね!」と言うファジーな呼び掛けをします。
リーダーは、そそくさと作ったばかりの新キャラでログイン。何人かもそれに倣って新キャラを持ち出します。
明らかに、新エリアの適正レベルに届かないキャラばかり。護衛が必要なのは明白です。
思う所があって、私は敢えて高レベルのヒーラーキャラで参加表明。他に、同調圧力に負けたと思われる仲間がヒーラーを出したからです。
「取り敢えず、新エリアのツアーって事で良いんですね?」
私は念を押しました。
二つ返事で「その通り!」と返ってきました。
そして現地へ。
私は一切、戦闘に参加しませんでした。
「景色を楽しむためのツアー」との事でしたから、いつもの適正レベル地帯のような緊張感を強いられる謂れはありません。
しかし、敵の攻撃で死んだ人は蘇生し続けました。
蘇生には当然、触媒となるアイテムを消費しますが、まあ、目の前で知人が死んだまま動けないのを放置するのも気が引けますし。
ただ、多くのMMOがそうであるように、キャラが死ねば相応のペナルティがあります。
でもリーダーならわかってくれる筈。
仲間が居れば経験値なんていらないよな、なあ皆! ですから。
しかし、どういうわけか、
「なあ、アイテム無駄にしない方法教えてやろうか? ちゃんとバリア魔法張ろうぜ」
と、リーダーから嫌味を投げつけられました。
念のため、もう一度確認します。
「これって、新エリアのツアーでしょ?」
やっぱり「そうだ」としか返ってきませんでした。
普段の戦闘を思えば、この時に限って私の動きが明らかにおかしいと気付けそうなものですが、今となっては、その真意はわかりません。
ただ、取って付けたように「金銭的な負担を強いるのは忍びない」と言われました。
……このケースについては、今思えば私の方も大人気ありません。
報酬の有無について納得が行かないパーティにわざと、当て擦りの為だけに参加した事になります。
まさしく、満足に株式配分をされない事を見越した上で、いざ仕事! と言う段階でストライキを起こすようなもの。
リーダーの呼び掛けに応じた人達に罪はありませんし、何より、同情した筈のもう一人のヒーラーに余計に負担をかけました。私が参加しなれば、別の誰かが真面目に回復役を全うし、誰も苦労しなかったでしょう。
言って聞かせようともせず、遠回しなボイコットで察しろオーラを出していた私のやり口も卑怯だったと、今になって思います。
しかし、このような、戦闘ごとの消耗の格差に無頓着な「消極的奴隷扱い」はかなり日常的に行われており、前回にも触れた「報酬の分配を納得行くまで擦り合わせる」事すら困難でした。
後半では、そう言う風潮もだいぶマシになりましたが、自分の利益を優先するスタンスだと干されかねない空気が出来ていました。
レベリングを断れば「人間関係を損得勘定でしか考えていない」と言われる時期すらありました。
「自分が低レベルの時、仲間のお世話になっただろう」と言うある意味での正論を利用されると、ますます断りにくいものです。
また「現実の生活に何の責任も生じず」かつ「目的の為に協力する」と言う構造から、ネットゲームと言うのは「甘ったれた友情依存、あるいはその皮をかぶった搾取」が起こりやすい土壌が最初から出来上がっているのだと思います。
例えばソードアートオンラインのようなデスゲームの場合、こんな馬鹿げた事は絶対に起こらないと思います。
先日、某スイーツ屋さんの暴挙をきっかけに「やりがい搾取」と言う言葉も陽の目を見ていました。
君は好きな事をしているんだ。夢を食べれば生きていける!
弁護士さん曰く、このお題目での奴隷扱いはそう珍しいものではなく、しかも、使用者は疑問すら抱かないケースが多いそうです。
これもまた、他人の自主性に依存した“甘え”の一種なのでしょう。
自分の利益は他人のものではない、という当たり前の想像力が欠如していると起こるそうなので、クリエイティブな仕事やゲームなど、まさしく「お互いに好きな事をしている」シチュエーションが引き金となりやすいのです。
当たり前ですが、ネットゲームで浪費した時間と言うのはネットゲームにしか割り振れないものではありません。
現実で他の事に費やす事も出来た筈の時間なのです。
後述する私の元上司もですが、「組織にとって大局的な利益は何か」と言う事に着目すれば、化けの皮は容易に剥がれます。
彼らは仕事をしているのではなく「目先の作業を遊び半分でいじくってサボっている」と言って良いでしょう。
●私怨がもたらす本当の弊害
そんなわけで、次はブラック前職での話です。
ここまでとは逆、主人公にべったりなタイプではなく、むしろ反発を剥き出す人物を書く際に気を付けたいポイントだと思います。
直属の上司とまともに会話が成立しない、まさしく末期の頃。
「15分刻みで報告に来い」→従う→「で? 何が言いたいの」→それが15分ごとに繰り返される
もしくは、私がある事柄について明らかに正解を答えた場合「それ以外に何があるっての? いちいち確認すんな!」or「ねえ、それ本当に正解か吟味した? 当てずっぽうじゃないの。根拠は? 根拠の根拠は? 根拠の根拠の根拠の(以下略)まあ、結果的に正解だけどね」
やがて私は、わかっていてわざと報告に行かないようになりました。
何故なら、上記のようなやり取りを強いられるよりも「報告しに来いと言ったろう! 何度言ったらわかるんだ!」と怒鳴らせておいた方が、いくらかタイムロスが少なかったからです。
まずもって、上司の持ち場まで移動する時間すら惜しいほど、スケジュールは常にカツカツでしたし。
先方も、「毎度同じことでキレなければならないつまらなさ」による消耗が大きかったのでしょう。手を変え品を変え、私の人格の色んな側面を否定して大声張り上げていた方が楽しいのは当然です。
どうせ上司の言葉全ては私怨に基づいており、そこに理は無い。
心情的な嫌悪以前に「社益を考慮すると、上司をわざと怒らせた方がベターである」事と「上司は仕事を妨害する敵だ」と言う認識から、そうせざるを得ませんでした。
私単独の行動としては組織の利益を最も優先しており、上司にとってのそれが「自分が気に食わない」もので、彼が無駄な手直しをして見せる事による会社への損害など、私の責任ではありません。
ちょっと要領を得ない書き方になった感もありますが、とにかく。
理の無い私怨は、相手に自分を敵視させる事になる。
また、権力の格差で逆らう事を許さず頭から押さえ付けているので、自ら相手の本音が聞ける道を閉ざしています。
前回引き合いに出したインテルのノイスとグローブは、どれだけ憎み合っていたとしても、決してこのような関係では無かったと勝手に思っています。同じ組織に居る以上、味方として機能してくれなければ共倒れで、ましてや“敵”にまでなってしまっては愚の骨頂。
賢い人間は、私怨よりも、会社だったり、ダンジョン攻略パーティそのものの利益を優先するものです。
まあ、同じ国でも“政敵”と言うものの足を引っ張る先生方も居られますが……。
●良い不仲・悪い不仲
まとめると「好悪どちらの感情にしろ、私情を持ち込まない」事と「憎み合っていても、お互いに良い影響を与え合う関係もあるし、逆もしかり」と言った所でしょうか。
あるいは「相手に負けないよう奮起するのが良い不仲・相手に勝つことばかり考えて足を引っ張るのが悪い不仲」とも。
これも私見ですが、究極、あらゆる人員とは“駒”だと思います。
あるいはSRPG風に言えば“ユニット”とか。
自分自身は勿論の事、戦友も、上司も、そして社長さえも「ブレーンと言う駒(ユニット・パーティメンバー)」です。
例えば私がブラック前職で上司の人格を黙殺して、社益のみを見るようになって行ったのも「上司と言う駒が使い物にならなくなった、言うなれば、ぶっ壊れたナビ機能が役に立たないので見切りをつけて、個人プレーに徹するスタンスに変えた」と言う事です。
表向きは神妙な反省の仮面を作りながら。
そして、ヒラから社長まで、それぞれの頭には「それぞれの戦術図」が展開されている筈です。
勿論それは、社長等最高責任者の「戦略図」を起点として、リアルタイムに描かれている筈です。
人間の数=人格の数だけ、それは存在し、「同じ目標を持った同胞」としては、擦り合わせていかねばなりません。
今回は積極的に読ませたい話では無い……側面もあったので、字数を全く気遣っておりません。
補足の方が本文の倍近くの分量になるとは……。
本来、「悪い例」となった人を引き合いに出しておいて、こう言う言い訳をするのも好きでは無いのですが……と言うのも自己保身の言い訳ですよねー。
ああ、考え出すと切りがない。
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