第3話 輪廻転生

だんだん気が遠くなってくる。

漏らしたショックで、意識が遠のいている。


気づくと周りがモヤに囲まれている。


ん?なんか見覚えがあるぞ。

ここは、来たことがある。


「また着たのか。ちょっと来るのが早いぞ。」


この声も聞き覚えがある。

俺は一度ここに来てるんだな、よく覚えてないけど。

なんか前にもこんな夢を見たことがあるような。


「忘れたのか。まあ良い。ここは霊界。死んだ者の来るところだ。お前がくるところじゃないよ。」


え?俺死んだの?


「だから違うって。今帰してやるからな。今度はうまくやれよ。」


えー?どういうこと?


「よくわからないな。」

思わず口に出していた。


見渡すと、そこは駅のトイレだった。

ん?ここは一体?

俺は用を足したかったんだっけ?

便意も特にないので、トイレから去った。



ようやく会社に到着。

無事遅刻せずにすんだ。良かった。

いつも通りちょっとネットしながら、

今日はなにしようかなーなんて考える。


午前中はシャッキリした気分で仕事ができる。

やっぱり仕事というのは午前中が勝負だよね。

なんて思いながら仕事してると、お腹が減ってくる。

午前中って長いよね。

はやくお昼休みにならないかなー。

そんなことを思いつつも、なんとか昼までがんばる。

やってるんだかやってないんだか。


お昼になったぞ。よし、出かけよう。

お昼くらいは外に出ないと息が詰まっちゃうよね。

なんて外に繰り出す。


都会は飲食店が豊富だ。

よりどりみどり、といったかんじ。

頑張れば世界中の料理を日本だけで食べられるんじゃないか?

そんなかんじだ。


最近ハマってるのはカレー。

ナンで食べるカレーがお気に入り。

案外安く食べられる。

なんと言ってもこの店は、

ナン食べ放題なんだ。

ナンはおいしいから3枚くらいは食べちゃう。

それで1000円くらいだから安い!

まあ結局1000円くらいしちゃう。

社会人のお昼なんてそんなもんだよね。

ちなみに今ナンって何回言ったかな?なんつって。


もう1ヶ月は通ってる。

常連と言っても良いんじゃないかな。

もちろん毎日じゃないけど。


注文したものがきたぞ。

俺はプレーンなナンが好きなんだ。

いろいろ頼んでみたけど、これが一番良いね。

なんて思いながら、一枚食べちゃう。

カレーにチョンチョンっとつけながら食べると、

あっという間に一枚なくなる。

しょうがないのでいつも通りおかわり。


おかわりが来るのを待つのがつらい。

正直早めにおかわりを頼むんだけど、それでも

やっぱり時間にバラつきがある。

まあ、その場で焼いてるからしょうがないね。


ナンの生地をパンパン叩いて、タンドールって釜に貼り付けてる。

ああやって焼くんだよなあ。ああタンドール欲しいなあ。

でも生地なんて自分じゃ作れないなあ。

なんて思ってると、二枚目が着てくれる。

やったね。


そんなかんじで三枚食べて、カレーの器からカレーをなくしたら、

今日のお昼終了。

いそいで会社に戻ろう。


会社に戻ると、お腹が重い。

正直カレー食べすぎた。

いや、ナンを食べすぎたのか。


うーん午後はやっぱり眠い。

食後に仕事って、食休みが欲しいよ。

ああもうダメだ、寝てしまう。


なんてうつらうつらしてると、上司に見つかってしまう。


上司に怒られてしまった。

なぜか立たされて、説教が始まってしまった。


眠いから立たされて丁度いいかも。

なんて思いながら話を聞いてる。

聞いてるけど、なんだかわからない。

なんで怒られてるんだっけ?

眠いなあ。

アクビしたらまた怒られちゃった。

こりゃ長くなるなあ。

つらい。


急激に腹が痛くなってきた。

ていうかいっぱい食べたから、

お腹の中の物がトコロテンみたいに押し出されたんだきっと。

うーん、お尻から出たいって言ってるよ。

どうしよう、上司の話全然終わんないんだけど。


あぁ、もうダメだ。

間に合いそうにない。

漏らしてしまう。

はやく終わって!

うーん。頼む!


なんて思いながらソワソワしてると、

なんだか上司はさらにヒートアップ。

違うんだよ、ふざけてるんじゃないんだよ、

トイレ行きたいだけなんだよ。

わかって欲しい。わかって…。


上司が突然大きな声を出すからビックリしてしまった。

ビックリしてお尻から勢い良く中の物が飛び出してしまった。

あ、やっちゃったよ俺。

会社で、みんなの前でやっちゃった。

終わりだ。

俺の人生終わった。


急にあたりはモヤに包まれる。

気づくとなんだか知らないところ。


「いい加減にしろ!」

神様にも怒られる。

「おまえはもう人間向いてないよ。魚にでもおなり。」


俺は気付いたら魚になっていた。


「もうこれで漏らすことはないだろう。」


なんで?


「いつでも好きな時にうんこができるぞ。」


なるほど。

それも悪くないかもな。


魚が一匹スイーと気持ちよさそうに泳いで行った。

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クソ漏らし転生 あたまかたい @gorira2020

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