リメンバー フォーエバー

れなれな(水木レナ)

君の思い出

 ケンカをしたわけでもないのに、顔中傷だらけ。

 壁に向かって日がな暮らすオレ。

 伸びた前髪を切りそろえたらみんなに驚かれた。

 ドブくせえとクラスで一番の弱っちいやつに鼻をつまんで言われた。

 図書室に入ったら人がいなくなった。

 花壇を見ていたら、園芸委員に追い払われた。

 こんなオレだってゴミとそうでないものの区別はつくさと、ゴミ箱から上靴を拾い上げる。

 そうしたら、君がよってきてありがとうと泣いた。

 それから一緒に昼食を食べるようになり、君は赤いウインナーを上手に焼けたと言ってくれた。

 オレはお返しに毎日家まで送って帰った。

 君の親御さんに挨拶をしたら、機嫌よく笑ってくれたっけ。

 自分が初めて認められた気がした。

 一人ぼっちの猫を連れて帰ったら、捨てて来いと親が言った。

「それは……捨て猫ね」

 君が両手をさしのばしたとき、

 君がやわらかな両腕で受け止めてくれた時、オレは自分が拾われた猫になった気がした。

 君が守った命は、オレ自身だった。

 君が救いだった。

「暗闇から天使?」

 君だけが救ってくれた。

 ありがとう、と。

 ありがとうと言いかけて、涙が出た。



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