人気の担任は幼馴染みで、近づけない

闇野ゆかい

第1話本編

朝のSHRが終わり、教卓に数人の男女が集まる。

「先生、夏休みどっか行くの?」

「行けるような時間がないよ、佐々木。どこか行くんだろ、友達と」

「そうだよー、デートしたいな~せーんせいとっ」

「佐々木みたいなのといると注目浴びるだろ、それに教師はだめなんだよ。わかるだろ」

「「えぇー、彼女になりたい~」」

集まっていた女子が声をあげる。

「振られてんじゃん、佐々木。諦めろって」

「うっさい、谷口」

佐々木が谷口を蹴っている。

「いってぇ、そういうところがきらわれんだよ」

「はぁー、谷口だって彼女いないくせに──」

佐々木と谷口が言い争い始める。

「授業が始まるから用意しろよ。佐々木と谷口らもな」

三葉羽佳那汰先生が促し、教室を出ていく。

私、花屋恵美は、机に頬杖をついて三葉羽先生──かーくんの後ろ姿を目で追う。


私とかーくんは幼馴染で、9つも離れている。しかし、幼馴染であることは事実。

面倒をみてもらっていて、幼い頃からかっこ良くて、優しくていつも一緒に遊んだりした。

かーくん以外の男子にときめくことは一度もない。

高校に入学したときに久しぶりに出会って、かーくんから秘密にしようと言われる。

それから、よそよそしい感じになる。

話しかけようとしても、話しかけられないでいる。今現在そんな関係が続いている。


この関係を続けるのは辛い──この想いを伝えたい。

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