02

 待つのはやめた。

 どうせまた、彼は、どこかでぎりぎりの場所に立っている。危ないところが好きだから、彼は。


「みつけた」


 スコープの先。今にも命がなくなりそうな、本当にぎりぎりのライン。

 あなたがそうやって危険に突っ込んでいくんだから、わたしの心は永遠に休まりません。ちょっとは安全なところにいてよ。もう少しゆっくりしてよ。

 言っても始まらなかった。好きになったのはわたしだから、しかたがない。彼の好きにも応えないと。

 ほらほら。もっと逃げて。だめだったら私が掩護するから。

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レインノーツ 春嵐 @aiot3110

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