レインノーツ

春嵐

第1話

 まだ帰れない。ここまででは、仕事として不十分。

 あと一歩。生死のぎりぎり、精神が削れるその一瞬まで。


「たのしいな」


 つい、呟いてしまう。こういう、ひりひりした日常が、どうしようもなく好きだった。自分でも、救われない性分だと思う。特に、自分を好きになってくれる相手には。わるいとは思っている。それでも、生き方は変えられない。

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