第2話 拷問

 真っ暗な闇の中を俺は歩いていた。

 何も見えない。

 地面もない。ただただ暗い空間で歩き続けていた。ゴールは必ずあると信じて。そのゴールは何かを俺は知らないのに。

 時々何かが見えるんだ。大きな手で僕を包み込んでいく。何かはわからない。怖くもない。逆に怖かった空間を優しく包んでくれている気がした。だがそれはすぐに終わった。そしてまた俺は歩き続ける。




 ふと目が開いた。まるで朝目覚めるかのような感覚だった。いつもなら朝日に当たって気持ちいいのだが今回は違うらしい。

 「、、、なんだこれ」

 椅子に座っている俺は後ろで手錠をされており足枷も付いていた。しっかり椅子は固定されており動けそうになかった。

 チャランチャランと鎖の音だけが響く。

 逃げようとするが動けなかった。

 一旦動きを止めて考える事にした。

 それよりもなぜ俺は生きているのかだ。俺は確か死んだはずだ。転生したかと思ったが、自分の体は自分でわかる。俺は心臓を撃ち抜かれたはず。痛みもまだ覚えている。あの時の絶望感と痛みと体が冷たくなる感覚。俺は死をしっかりと感じていた。夢なら出来すぎだ。もう一回脱出しようと動き出した瞬間。

 「うるせーな!!!」

 鉄格子を揺さぶる音と急な怒鳴り声に俺はビビりながら相手をみる。

 ライトの光を当てながら俺を見ている中年の髭の生えた男がいた。

 なんだこいつ。

 服を見てみると男は光導隊の制服を着ていた。(光導隊とは日本に出現する悪魔に対抗するためにできた組織)

 日本からの人気は高く、光導隊の制服を着て街を歩くだけで黄色い歓声が聞こえてくる。みんな光導隊に憧れ、尊敬し、信頼していた。

 なのになんだこいつは。

 早く俺を助けろよ。

 「助けてください。俺、捕まってて」

 そう訴えかけるが男は聞く耳を持たない。

 そう思ったが男は檻を開け入ってきた。

 助けてくれるのか。

 よかった

 男は俺の前に立ち

 「今助ける」

 そう言われ俺は安心し、目を閉じる。


     ゴンッッッッッッ


 その瞬間俺は腹に激痛が走る。

 「はは!!」

 狂った声がする。

 力を入れていなかったからか、みぞに蹴られたからかとてつもなく痛く、俺の顔は下に向く。

 それに合わせて俺の顔には膝が飛んできた。

 痛くてたまらない。

 でもまだ痛みを感じている頃はよかった。

 何分経ったか、永遠と殴る蹴るが続く。体には見たことのないぐらいのアザが無数にあった。いつのまにか俺は痛みを感じなくなり、体が震え、冷たくなるのを感じる。

 似ている

 何かに

 そう思った瞬間俺の震えは今までの比ではないぐらい増え、ある思いが生まれた。

 

       死ぬんだ


 二度目に感じた恐怖これを忘れるバカはいない。目の前が真っ青になる。

 「うわぁあぁぁああぁぁぁあ!!」

 いつのまにか慎吾の鎖は切れていた。そして男は驚く。普通の人間に錠を壊せるはずがないと、そして反撃が来ると思い構える。伊達に光導隊に入隊したんじゃない。まだ下っ端だがそれでも慎吾を倒せる戦闘能力は持ち合わせていた。だが、男は慎吾に勝てなかった。

 慎吾は逃げたからだ。

 男の逆の方向。壁に向かい走り壁を破壊して逃げ出した。

 追いかけようと男は走るが壁は崩れ慎吾は見えなくなっていた。

 この男は後で監視不十分で光導隊をクビになる。ただ慎吾が逃げ出したからだ。殴ったこと、蹴ったことには何も関係がなかった。

 それはそうだ。

 慎吾は悪魔なのだから。

 

 

 

 

 

 

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12の時が回る頃0は密かに動き出す 名無しのポチ @taku62560

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