私の彼は職務経歴書が書けない。
多賀 夢(元・みきてぃ)
私の彼は職務経歴書が書けない。
小説を書く前から、私はブログでエッセイや旅行記などを書いていた。
当時は「文章力があっていいですね!」だの「表現力が羨ましいです」だのという感想がちょいちょい来た。
私は非常にモヤモヤした。だって素人の私が書ける程度の文章など、誰だって書けるはずだと思ったからだ。
しかし、表現できない人間というのは、本当にとことん表現ができない。
私はそれを、自分の彼氏で痛感した。
私の彼氏は、自分の職務経歴書が書けない。大げさじゃなくて、一文字も書けない。
履歴書はフォーマットが決まっているから、迷わず書ける。ところが職務経歴書となると、履歴書の職歴だけコピーして企業に提出する始末。
私がネットで凡例を見つけて教えても、マニュアルを印刷して渡しても、就職する気あんのかと説教しても「だって分かんないもん!」の一点張り。
仕方がないので、私が聞き取りをしながら代筆した。聞けば聞くほどアピールポイントがたくさん出てくるのに、自分では一切文字化できない。――表現力のない人間というのは、こういうものなのだ。
(ちなみに、履歴書の自己アピールも志望動機も、私が書いている)
一応フォローしておくが、彼はそこそこ読書家だ。それでも、自分の過去すら箇条書きにできないのである。
だから皆さん、職務経歴書が書けるのなら、誰だってエッセイも旅行記も書けますって。小説もいけますって。自分らしい表現を前向きに突き詰める覚悟さえあれば、モノの一つくらいはできますよ。
ところで、男性アイドルの小説が直木賞にノミネートされていたと最近知った私。いや凄いね。だって直木賞って、すでに商業化された作品がある人が受けられる賞だよ。ある意味、新人しか受賞できない芥川賞より凄いかも知れない。
芸人の方は桂三枝(現在は桂文枝師匠)、又吉直樹氏の2人が文壇を開拓したけど、アイドルはまだまだな感じがする。しかしアイドルこそ、創作して表現する事がお仕事だ。きっとまだまだ原石となる人材が眠っているはず……最近活動休止をしたあのアイドルとか、書けそうなんだけどな。
私の彼は職務経歴書が書けない。 多賀 夢(元・みきてぃ) @Nico_kusunoki
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