竜の化石(旧)

雨世界

1 僕たちは友達だよね。

 竜の化石


 登場人物


 荻野むー 好奇心旺盛で真面目な男の子 十歳


 町田くー 誰よりも優しい男の子 十歳


 浅海ゆう 真面目で物知りな女の子 十歳


 水川さん 国立博物館で出会う 竜の化石を見つけたすごい人


 プロローグ


 僕たちは友達だよね。


 本編


 八月。青色の日。


 どうしたの? 大丈夫?


 幻想上の生き物であるはずの伝説の竜の化石が日本の東北にある山奥で見つかったのは、去年の夏のことだった。それは世界史上に置いても、もっとも重要で偉大な発見であり、その竜の化石が偽物ではなく、(今までのいろんな伝説上の生き物が偽物であったように、その竜の化石も偽物であるという人はたくさんいた)本物であるということが正式に発表されると、世界はあっという間にその『竜』の話題で持ちきりになった。

 その本物の竜の化石は一年の研究のあとで、たくさんの要望により、東京にある国立博物館に展示物として展示されることになった。(もちろん、研究をしながらだけど、本物の竜の化石を見たいという人たちの要望があまりにも強かったので、一年という短期間で展示されることになったのだ)

 その日も、国立博物館には長蛇の列ができていた。(まるで世界中で有名なテーマパークの人気のアトラクションの列に並んでいるみたいだった)

 国立博物館の周囲にはその観客をターゲットにしていろんな移動式のお店が出ていたし、(まるで夏の日のお祭りのようだった)小学五年生の男の子、荻野むーも家族と一緒に列に並んでいる間、そのお店の一つであるチョコバナナを買って食べた。

「竜の化石、見るの楽しみだね」

 むーの隣でむーと一緒に買ったチョコバナナを美味しそうに食べている、むーと同じ『都立見晴らし小学校』に通っている小さいころからの友達の町田くーがむーにいった。

「うん。すごく楽しみ」

 丸い眼鏡の奥で、にっこりと笑ってむーはいった。

 むーはこの日を本当に楽しみにしていた。

 恐竜が大好きで、古代の時代が大好きで、将来は考古学者になりたいという夢をひっそりと隠し持っていたむーは、竜の化石が見つかって、しかもそれが本物であると正式に国から発表されると(むーもたくさんの人たちと同じように、その化石は話題作りのためか、お金儲けのための偽物だと思っていた)むーは本当に、その竜の化石に(あるいは竜という生き物に)熱中した。

 夜眠るときも、いつも竜の夢を見た。

 その夢の中でむーは大きな竜と友達になって、その竜の背中に乗って、よく青色の空の中を飛んでいた。

 それは本当にわくわくするような、(まるで恐竜の姿を図鑑で初めて見たときのように)本当に楽しい夢だった。

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