第一章 の おまけ

第21.5話 初夜 〜第1章おまけ話〜


 こんばんは。結婚式を終え、先程新居に帰ってまいりましたフルールです。


 帰ってきたと言っても家具を運び入れただけで、実際にここで生活するのは今夜からです。ドキドキとウキウキでどうにかなってしまいそうです。

 とりあえず湯浴ゆあみを済ませ、お義母かあ様がご用意してくださった天幕てんまく付きの大きなベッドで初めて2人で眠ります。緊張しているのでしょうか、妙に全身に力が入ります。


「······フルール?」


 ベッドの中央で正座をしてもじもじしていると、湯浴みを終えられたラーファ様が戻られました。緊張しているのがバレてしまったのでしょうか。もしや、嫌がっていると思われてはいないでしょうか。


「あの、えっと、その、初めてご一緒にべべ、ベッドに、その······き、緊張してしまっているだけでして······」


とても早口になってしまいました。本当に恥ずかしい限りです······。


「ぶっ······。あっはは! 大丈夫だよ、フルール。ゆーっくりするから」

「······はい。え、ゆっくり······な、何をですか?」

「······ナニ?」

「一緒に眠るだけではないのですか?」

「······あぁっ!! ‏そうか、そうだった。あ〜······そっか······」

「えっ、何ですか? また私何かやらかしてしまいましたか?」

「いや、やらかしたのは僕だよ。真っ白で綺麗なフルールを汚したくなくて、いつの間にかすっかり忘れてたよ」

「もう、一体何のお話ですか?」

「ふふっ、『キスより先』の話。しーっ、もう黙って。僕に全部任せて」


 耳元でそうささやきながら、ふわっとベッドに押し倒されました。ふかふかのお布団に包まれて、ラーファ様に抱きしめられて夢見心地です。お布団がとっても柔らかくて、ラーファ様に抱かれているのかお布団に抱かれているのか、もうだんだんわからなくなってきました。


「えっ、あれ?フルールさーん、起きてよ〜。今日は寝ないで〜」

「はっ、すみません。私ったら、あんまり心地よかったもので、つい······」

「うん、僕も今すっごく気持ち良い。今日は楽しかったけどすごく疲れたしね。でもね、これからもーっと気持ちよくしてあげるからね」


 でました。小悪魔のような、イタズラっ子のような、何かを企んでらっしゃるお顔です。キラキラしすぎて、もうまともにお顔を見れません。訳が分からないので、あとは全てラーファ様にお任せしたいと思います──





 ‎──ちちちちち、ぴょぴょぴょ〜──


 ‏翌朝、目が覚めるとラーファ様の腕の中でした。昨晩の事はあまり詳しくお話できませんが、ラーファ様はとてもお優しく、深く愛されていることを思い知らされる時間となりました。ただ、『キス以上の事』への衝撃は計り知れないものでした。絶対に、一生忘れることのできない一夜となりました。恥ずかしくてこれ以上はお伝えできませんが、兎にも角にも凄かったです。未知の領域でした。


「ん〜······おはよう、フルール」

「お、おはようございます、ラーファ様」

「なんだかくすぐったい気分だね」


寝起きのラーファ様の笑顔は、計り知れない破壊力です。


「えぇ、そうですね。これから毎朝、起きたら1番にラーファ様に会えるんですね。とっても幸せです」

「僕もだよ。こんなに幸せなことはないよ。もう少しこのままで居たいな」

「うふふ、私も同じ事を思っていました」

「でも······。ん〜〜〜っ! さぁ、行くよ!」

「はい、世界一周旅行ですね!」


 私を一度ぎゅっと抱きしめてから、ぐーっと伸びをしてラーファ様は私の手をとりました。なんとも温かい朝を迎える事ができて幸せの極みです。

 そして、実はこれからラーファ様と新婚旅行へ出発なのです。いつかのお約束が実現するのです。本当に夢のようです。この最高の幸せを噛み締めて、これからラーファ様をお支えしてゆく所存です。

 皆様、どうか温かくお見守りください(*´︶`*)




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花の方舟 よつば 綴 @428tuduri

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