第4話 光の護人

第4話『光の護人』

過去へ跳び、若き頃の村長、その仲間たちのいる時代へと着いたアルド達。

過去から未来へ侵攻を始める悪意の源を断つべく、戦いの舞台へと向かう。


○セレナ海岸・過去


第二話終了直後から開始。

自由行動。メディーナ、ギレウス、ヴィクトらの前にあるアイコンをタップするまで。元の時代に戻るには球体をタップする。

球体をタップ。

球体「元の時代に戻る?」


 戻ろう、を選択。

球体「わかったわ。それー!」


 まだ戻らない、を選択。

球体「うん。準備が出来たら、行きましょう!」


メディーナ、ギレウス、ヴィクトらの前にあるアイコンをタップ。

イベントを開始。


ギレウス「よし、行くか」

アルド「ああ。でも、どうやって行くんだ?」

ヴィクト「ああ。泳いでいくんだ。真下まで来たら、大気を蹴りながら--」

ギレウス「アホか。それじゃ濡れちまう。助走つけて跳んでいきゃいいだろうが」

メディーナ「それが出来るのはアンタ達だけでしょうが」

球体「そうよ。転移するから心配しないでいいわよ、アルドくん」

アルド「そ、そうか。よかった」

フィーネ「(ギレウスさんとおじいちゃんって本当に同じ人なのかなぁ?)」

球体「じゃあ、みんな。私にくっついて」

 球体を囲む一同。

球体「転移!」

 発光。光が弾み、天上の柩へ突入する。


○天上の柩・内

 古めかしい、石柱と生物が融合したような歪な構造部。

 到着するアルドたち。

アルド「ここが、天上の柩……」

サイラス「どこか、似てるでゴザルな。時の塔に……」

アルド「ああ。そうだな」

リィカ「アルドサン。構造ノスキャンヲオコナッタトコロ、時ノ塔ト88パーセントホド構成ガカサナリマシタ」

アルド「なんだって!?」

サイラス「ということは、拙者の時代から存在しているということでゴザルな」

エイミ「でも、私たちは今の今まで、ここに入るまでそれを知らなかった」

ヘレナ「何かしらの理由で放棄されたのかも知れないわね」

ギレウス「何の話をしてるんだ? さっさと行こうぜ。こんな辛気臭いところ、いたくねぇぜ」

メディーナ「来たばっかりでこれよ。昔からワガママでねぇ」

球体「けど、そこがいいのよねぇ」

メディーナ「そうそう。ああ見えて、可愛いところもあるし……」

 びっくりするメディーナ。

メディーナ「もう、何でこんなこと言ってるんだろ。皆、行きましょう」

アルド「ああ。えぇと、デッシュだっけ? そいつと神を倒すんだ!」

 行動開始。時の塔と似たような仕掛けを乗り越えつつ。


○同・中間地点

  アイコンをタップ。

  この先、大いなる試練が待ち受ける。

  黒い気が収束し、全身の爛れた怪物が顕現する。

  武器を構える一行。


  悪意の眷属(LV60相当)と戦闘。

  敗北の場合、入口からやり直しorクロノス石でコンティニュー。


  勝利し、灰が大気に舞い散るように消滅する怪物。

アルド「よし。倒したぞ」

ギレウス「やるじゃねぇかお前ら。自警団にしておくにはもったいねぇ」

ヴィクト「ああ。俺達ほどじゃないが、かなりの腕だ。自警団になる前は何をしていたんだ?」

アルド「ああ、まぁ。旅を少々……」

エイミ「少々って言えるものだったかしらね」

ギレウス「謙遜することねぇぜ。俺にはわかる。特にアルド、お前の剣さばきは数え切れないほどの実戦で培われたものだ。それでいて基本に忠実だ。基礎は誰から学んだんだ? 余程できた奴からだったろ?」

アルド「(未来のアンタとは言えないよなぁ)」

メディーナ「どうかした?」

アルド「ああ、いや。俺とフィーネを育ててくれた人から学んだんだ。じいちゃんなんだけど」

ギレウス「へぇ。そのじいさん、かなり強いんだろうな。会ってみたいもんだ」

メディーナ「珍しいわね。ギレウスがそこまで褒めるなんて」

ギレウス「そうか?」

ヴィクト「確かにそうだな。明日から七日七晩ほど槍の雨が降るな」

ヘレナ「いい話が一気に台無しになったわね……」

 歩き始める一行。動きを止めた球体に、エイミが駆け寄る。

エイミ「どうかした? 『メディーナ』」

球体「ううん。なんでもない。えっ」

エイミ「やっぱり。あなた、未来のメディーナね」

球体「どうしてわかったの?」

エイミ「同じ言葉を使っていたし、ギレウスさんに妙に色目を使っていたのが気になって」

球体「そっかぁ。私もまだまだね。迂闊だったわ」

エイミ「あなた、肉体は滅んだって言ってたわね。どういうことなの?」

球体「この戦いで、私は力の全てを使い果たして死ぬことになってるの」

エイミ「え? じゃあ、まさか……」

球体「安心して。大丈夫から」

エイミ「大丈夫って。そんな、じゃああなたは時間を……」

 時を変えようとしている所業に慄くエイミ。

 ゆらゆらと球体が一行を追う。

エイミ「過ぎ去った時を、変える……」

 エイミの脳裏に、かつて滅んだ時間軸の未来を変えたアルド達の戦いがフラッシュバックする。

 エイミ、何も言わずに後を追う。


○同・動力部

 黒い気が収束。中間地点で遭遇した怪物が現れる。

 悪意の眷属(LV60相当)と戦闘。

 敗北の場合、中間地点からやり直しorクロノス石でコンティニュー。

 

 勝利。怪物は消滅せず、黒い大気が上層に向かって、吸い上げられた。

アルド「なんだ?」

ギレウス「上に向かってったな」

リィカ「タダナラヌオーラヲカンジマス。モクテキチガチカイトオモワレマス」

ギレウス「いいね。ワクワクしてきた」

アルド「ワクワクって、緊張とかしないのか?」

ギレウス「全然。世界を何度も救うのはうんざりだが、こういう時はどうしてもワクワクが止まらないもんだ」

フィーネ「何度も救うって。おじ……ギレウスさんって、こういう戦いを何度か経験してきたんですか?」

ギレウス「ああ。ヴィクト、メディーナ達と一緒にな。大陸を吹っ飛ばそうとした魔法使いや山みたいにデカい巨人……」

ヴィクト「異世界からやってきた悪魔なんてのもいたな」

ギレウス「そうそう。連中の目的は例に漏れず、世界を手中におさめたり崩壊させようとしていたからな」

メディーナ「皆がみんな、それを成すだけの力を持っていたものね。よく生きてきたわよね。私たち」

ギレウス「勝ったから、生きてるんだ。生きて帰る事。それが本当の意味の、勝つってことだろ?」

エイミ「死んだら……」

アルド「エイミ?」

エイミ「死んだら、負けるの?」

 間に沈黙が流れる。

ギレウス「いいや」


エイミ「えっ? でも、生きて帰る事が……」

ギレウス「本人が満足してるかで変わってくるな。俺はいつ死んでもいいように全力で生きてる。ヴィクトもだ」

ヴィクト「ああ」

ギレウス「満足して、これで悔いはねぇと思って負けるならそいつにとってある意味、勝ちなんだ」

エイミ「言ってることがわからないわ」

サイラス「拙者、解るような気がするでゴザル。真剣勝負には真の敗北は無い、という言葉があるでゴザル。自分の力を出し切り、敗けるなら本人としては満足の行く結果。そこに悔いはなく、ただあるがままを受け入れる……」

ギレウス「一対一ならいいが、世界の命運なんてかかってると面倒なんだよな」

メディーナ「ここで負けたら世界が滅ぶものね。死んだ後の世界なんてどうでもいいって思えるほど達観してないのよ、私たち」

ヴィクト「昔から、色んな人から頼みごとをされるからな」

ギレウス「貧乏くじ引きっていうのかね?」

メディーナ「あなたが自分から引いてるんでしょ? 困っている人は見過ごせないんだから」

リィカ「ダレカトニテイマスネ」

サイラス「そうでゴザルな」

アルド「誰のことだ?」

ギレウス「まぁ、なんだ。要は本人の受け止め方次第ってことだ」

エイミ「もし、もしもよ。どうしても悔いがあって、それが時間の流れを変える程に強い後悔だったら……どうする?」

ギレウス「どうした、お嬢ちゃん?」

エイミ「答えて」

ギレウス「さすがに、そんな経験ねぇからな。もしそんなことがあったとしたら、悔いのねぇようにやらせてやるかね。それで困ってるなら、力を貸すし」

エイミ「本当に?」

ギレウス「ああ。男に二言はねぇ」

ヴィクト「自慢じゃないが、この男はどんな約束を破ったことがない。だから信用していいぞ」

メディーナ「そうそう。借りは必ず返す主義なのよね」

ギレウス「うるせっ。ほれ、くっちゃべってねぇで行くぞ」

 再び歩き始める一行。沈黙を貫いていた球体が震えだす。

 そっと寄るエイミ。

エイミ「いきましょ」

球体「うん。うん」

エイミ「私、決めた。私のあらゆる力をもって、あなたの手助けをするから」

球体「うん」

エイミ「だから、あなたも頑張って。今度こそ、悔いの残らないように」

球体「ぐすっ……うん」

  行動開始。

  行き止まりにあるワープゾーンへ。

  アイコンをタップする。

  ここから先、大いなる試練が待ち受ける。


○同・最上層

  天上の柩の頂点に敷かれている魔法陣の上に着く。

  黄昏。エンジェルラダーができており、神々しい空。

  中心に、黒衣を纏った人物がいる。

  ワープし、そこへ駆ける一行。

黒衣の男「良くぞ来た。わが好敵手」

ギレウス「それ以上、何も言うな。くだらねぇ、クソみたいなエゴイズムで罪のねぇ人を何人も殺しやがって」

アルド「どういうことだ?」

ギレウス「そいつは、デッシュは生贄を捧げるだとか戯言ぬかして殺人を繰り返してやがったんだ。俺たちはそいつを止めるために戦ってたんだ」

ヴィクト「救えたのはそう多くはなかったがな」

ギレウス「ここで終わらせてやる。全部な」

デッシュ「終わるのはお前たちだ。積み重なった因縁の全て、我らが神の力で浄化してやろうではないか」

ギレウス「お前はそれを見てるだけか? 貰い物の力でほざくんじゃねぇ」

デッシュ「安心しろ。まずは私の悪意を見せよう」

  黒い気がデッシュに収束していく。

デッシュ「悪意は、ニンゲンの中でもっとも強いチカラだ。相手を憎む事は生きる糧になるからな。お前たちが救えなかった人間達の、生を渇望する願い……それは、この世界に対する恨み。即ち、悪意!」

  デッシュの姿が巨大化し、四足歩行型の怪物に変わる。

デッシュ「さぁ、はじめよう。悪意の集合体たるこの力、超えられるか? 只の、ちっぽけな人間が!」

ギレウス「だからこうして来てんだろうが。巨大化して頭の回転が鈍くなったんじゃねぇのか?」

デッシュ「……減らず口を」

ギレウス「アルド、その仲間たち。覚悟はいいな?」

アルド「ああ。やろう、ギレウス!」

フィーネ「全力で援護するから!」

サイラス「このような修羅場、何度も潜ってきたでゴザル!」

リィカ「アンノウンデハアリマスガ、チカラヲアワセレバ!」

ヘレナ「要は、今までと同じってことね」

エイミ「ええ。私たちならやれるわ!」

ヴィクト「いい啖呵だ。では俺も相乗りさせてもらおうか」

エイミ「メディーナも、頑張りましょう!」

メディーナ・球体「ええ!」

ギレウス「ほいじゃ、やるか!」

  デッシュ変異体と戦闘。

  敗北の場合、動力部からやり直しorクロノス石でコンティニュー。


デッシュ「オオオオオオォォォォ……」

  崩れていく怪物。

ギレウス「どうだっ!」

デッシュ「フ、フフフ」

ギレウス「何がおかしい?」

デッシュ「これで、全ての準備が整った」

ギレウス「あぁ?」

デッシュ「私に渦巻く悪意を最後の鍵とし、我らの神を復活させる! 異界に封じられた破壊神を!」

ギレウス「ああ、はいはい。呼ぶならさっさとしてくれ。ぶっ倒してやるから」

デッシュ「愚かな。その余裕、後悔させてやろう!!」

  空が暗くなる。

デッシュ「一〇〇〇の災厄を呼ぶ我らが神よ! あまねく時空を消し去り、万象を虚無へと! 我はその礎となり、神力の助けとならん!!」

  時空の歪みが発生し、そこからドス黒い塊が降りてくる。

  黒い大気となったデッシュと塊が一つとなり、次第に形が顕れる。

  おぞましい軟体生物を纏った骸骨が顕現し、破れた衣のような羽をはばたかせる。神が咆哮。大気が揺れ、雷鳴が轟く。大雨が降ってくる。

アルド「あ、アレが神なのか……とてもじゃないが、そうは見えないぞ!」

フィーネ「あれじゃただの怪物だよ!」

ギレウス「やることは変わらねぇだろ! 敵ならぶっ倒すまでよ! そうだろ皆!」

球体「そうよ。ここからが私の出番よ!」

  球体が眩い光を放ち始める。

球体「メディーナ! 私の力と同調して!」

メディーナ「え、ええ!」

  同じように光を放ち、球体のメディーナと交わっていく。

メディーナ「えっ……?」

  球体……メディーナの、最期が脳裏を過る。


○セレナ海岸・過去

  ギレウスに背負われているメディーナ。

メディーナ「この旅が終わったらさ、ギレウスはどうする?」

ギレウス「そうだな。畑でも耕して、のんびりしたいね。この日々も楽しいっちゃ楽しいが、度々世界を救うのはいい加減飽きてきたし」

メディーナ「のんびり、かぁ。私もそうしたいな。好きな人と一緒にいて、子供と一緒に……うん、私……そうしたい……」

ギレウス「お前も宿命だのなんだので振り回されてきたからなぁ。そうだ、ミグランスから少し離れたところに集落あるの知ってるだろ?」

メディーナ「うん……」

ギレウス「そこに住もうと思ってるんだよ。良かったら……」

メディーナ「…………」

メディーナ「(やだよ……死にたく、ない……)」

字幕「ああ、神様。お願いします。せめて、少しの時間だけでもいい。愛する人と一緒の時間を過ごさせてください。それができるなら、私はもう何もいりません」


○天上の柩・頂上部

  光が止み、球体から凄まじい力の流れが放出されていく。

  神が包み込まれ、幾度もの衝撃を受ける。

メディーナ「す、すごい……でも、この力は!?」

球体「数十年分の霊力よ! まだまだ!」

  更に衝撃。悪意が少しずつ浄化されていく。

メディーナ「ねぇ、あなた……もしかして……!」

球体「話はあとにして! これでぇ!」

  轟音・閃光・爆発! 

  天候が元に戻る。弱りきった神の双眸が一行を睨みつける。

ギレウス「まだ足りないみたいだな」

アルド「だけど、かなり弱ってるはずだ。これなら!」

ギレウス「これで最後だ。行くぞ!」

  禍凶神と戦闘。

  勝利。

  メディーナと球体から発せられる光が神を弱らせていく。

  大きくよろめいた瞬間、

ヴィクト「今だ!」

サイラス「援護するでゴザル!」

  ルナティック発動、電光雷刃を放つヴィクト。

  それを援護し、三連続の斬撃を打ち込むサイラス。

フィーネ「ヘレナさん!」

ヘレナ「ええ」

  魔法を放つフィーネ、ヘレナ。

  弱っていく神。悪あがきに攻撃を加えてくるも、

リィカ「サセマセン!」

  ハンマーで弾き飛ばすリィカ。

アルド「トドメだ!」

ギレウス「アルド、嬢ちゃん!」

エイミ「これで……」

三人「終わりだぁぁぁ----っっ!!!!」

  アナザーフォース発動。

  オーガベインを振るアルド、ブラストヘブンを放つエイミ。

  渾身の一撃を叩き込むギレウス。

  咆哮と共に神が消えていく。

メディーナ「終わったの……?」

球体「ええ。体の調子はどう?」

メディーナ「悪く、ないかな」

球体「そっか。よかった」

メディーナ「はぐらかされたけど、球体さん……」

球体「細かいことはいいっこなしよ。あなたは、この後ちゃんと幸せになるの。それでいいのよ」

メディーナ「でも……」

球体「これは私のエゴよ。摂理に反してると解っているのに、それでもそうすることを願った……」

  球体の光が弱まっていく。

球体「ただ、好きな人と……一緒に……」

  轟音。天上の柩が崩壊していく。 

ヴィクト「崩れるようだな」

ギレウス「脱出だ。とっとと帰るぞ。疲れちまった」

球体「なら……私に……集まっ……て」

アルド「どうしたんだ?」

球体「ごめ……ここで……」

  発光。崩れる音が鳴る。


○次元の狭間

 光が止み、次元の狭間にいることに気づくアルド、フィーネ、エイミ、サイラス、リィカ、ヘレナ。

アルド「ここは、次元の狭間か?」

フィーネ「戻ってきたの?」

 アルドの目の前に球体が顕れる。

球体「最後の……力で……戻……」

エイミ「メディーナ……」

球体「あり……がと……」

 消滅する球体。

アルド「あっ……」

エイミ「…………」

アルド「エイミ、メディーナって言ってたけど。まさか……」

エイミ「彼女は、未来のメディーナだったのよ。本来なら、神との戦いで力を使い果たして死ぬはずだった。でも、彼女は魂だけになって……」

サイラス「その運命を、変えようとしていたのでゴザルか?」

エイミ「そうよ。本当は死にたくなかった。仲間たちと一緒に生きていたかったんだと思う。だから、こうして……」

ヘレナ「正体を知っていたからあの時、ギレウスに問いかけていたのね」

リィカ「ナラ、オシエテクレテモヨカッタノデハ?」

エイミ「ごめん。言ったら、止めるかもしれなかったから」

アルド「エイミ?」

エイミ「ワガママだよね。今度こそ後悔が無いようにさせてあげることが、未来を変えると解っていても助けになってあげたいと思うなんて」

アルド「そんなことないさ。ギレウスが言っていただろ? 悔いのないようにやらせてやればいいって。あの三人がもし、この事実を知っていたとしても止めなかったと思う」

エイミ「アルド……」

アルド「じいちゃんに会いに行こう」

  行動開始。バルオキーへ。


○バルオキー・村長宅

  村長がいる。

村長「おお、アルドにフィーネ。おかえり」

アルド「ただいま、じいちゃん。先に帰ってたんだな」

村長「ああ」

アルド「その、外で何かあったりした?」

村長「いや、ただ事ではないような気がしたが杞憂であったわ。いかんな。少し、キレが鈍ったかの」

アルド「まさかぁ。そんなこと……」

村長「そろそろ、アイツの命日が近いせいかもなぁ」

アルド「アイツ?」

村長「昔、旅をした仲間じゃよ。メディーナといってな。旅をしていた頃から力を使ったツケで、長くは生きられなかったが……」

  驚く一行。

アルド「そんな……」

村長「だがな。ワシはかけがえのないものをもらったよ。毎日が幸せじゃった。無論、今もな」

アルド「その、メディーナさんは満足してた?」

村長「ああ。最後は笑顔で逝ったよ。ワシも、笑って見送って……」

   沈黙。

村長「アルド、それに皆。良かったら墓参りに付き合ってくれんか?」

   見合わせる一行。

アルド「喜んで」


○平原

 少し離れたところにある花畑。そこに建てられている墓石の前に立っている村長、アルドたち。

 墓石にはこう刻まれている。

『我が愛する人、ここに眠る。受け取った愛を胸に、生き続けると誓う』


○過去・改変後

 歩いているギレウス、背負われているメディーナ。

メディーナ「この旅が終わったらさ、ギレウスはどうする?」

ギレウス「そうだな。畑でも耕して、のんびりしたいね。この日々も楽しいっちゃ楽しいが、度々世界を救うのはいい加減飽きてきたし」

メディーナ「のんびり、かぁ。私もそうしたいな。好きな人と一緒にいて、のんびりしたいな」

ギレウス「お前も宿命だのなんだので振り回されてきたからなぁ。そうだ、

ミグランスから少し離れたところに集落あるの知ってるだろ?」

メディーナ「うん」

ギレウス「そこに住もうと思ってるんだよ。良かったら……その、ダメか?」

メディーナ「断ると思う?」

ギレウス「質問で返すなよ」

メディーナ「美味しいご飯、作ってくれる?」

ギレウス「ああ。たらふく食べさせてやるよ」

メディーナ「愛してくれる?」

ギレウス「今までそうしてもらった以上にな」

メディーナ「私、長生きできないかもよ?」

ギレウス「それでもだ。全力で愛してやる」

メディーナ「ギレウス」

ギレウス「うん?」

メディーナ「大好き」

ギレウス「俺もだ」

 夕焼けが二人を照らす。


 クエスト終了。

 バルオキー・村長宅で行動開始。


条件分岐。

夢見でヴィクトと出逢い、キャラクエ3をクリアしている場合、ユニガンの酒場でイベント発生。


○ユニガン・酒場

 カウンター席にヴィクトがいる。

アルド「ヴィクト……だよな?」

ヴィクト「アルドか。なんだか、久しぶりだな」

アルド「俺にとってはそうでもないけどな」

ヴィクト「デッシュとの戦いでは助かったよ」

アルド「覚えてるのか!?」

ヴィクト「思い出したのはついさっきだ。つい昨日のように、鮮明に蘇ってきてな」

アルド「そうか。あの戦いの後、どうしてたんだ?」

ヴィクト「もうしばらく旅をしててな。集落で村作りが興ったのと同時に、メディーナが体を壊しがちになって。一度別れたんだ。あのあと……」

アルド「旧跡の化物と戦ったんだな」

ヴィクト「ああ。後はお前も知っての通りだ。あの戦いで、冒険は終わりギレウスとメディーナは村に。俺や他の仲間達はそれぞれ、また旅に出た」

アルド「その村が……」

ヴィクト「バルオキーだ。鍛冶屋の跡取り娘もそこに落ち着いてな。順風満帆な日々を過ごしたんだそうだ」

アルド「そうだったのか……」

ヴィクト「今でも思い出す。俺を合わせた『六人』の仲間たちのことを。はは、今はお前もいるか」

アルド「ああ。ここにいるぞ」

ヴィクト「どれ、今日は飲むか。奢ってやろう」

アルド「いいのか?」

ヴィクト「今日は、いい日だからな」

  笑い合う二人。

  イベント終了。

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