ぶっきらぼうで、乱暴にさえ聞こえる物言いのキャンディには悪を憎む理由がある。
自分にはもしかするとべつの人生があったのではないか……ふとそんな思いにかどわかされることがあっても、甘いドロップを時に精神安定剤のように、時にカンフル剤のように口のなかで「ころん」と転がしながら、闘う彼女に勇気づけられる。
歯切れがいいのに物足りなさのない御剣ひかるさんの文は、リズムが良く一気に読める。ネット作家さんのなかでも屈指の上手さ。
『雰囲気ライト寄り』のタグどおり、本来の文体よりもさらに読みやすく読者に配慮されているように感じました。
異能を持つ男勝りな女性、ダイアナ(でもちょくちょく女性らしい一面が出て来るのが可愛らしいです)は過去の経験から悪辣な犯罪者を絶対に許しません。
ニューヨークにあるIMワークスの武力解決班に属する彼女(武闘派)は、毒舌で機械に強い相棒デイビッド(知能派)と組んで、あらゆる悪に立ち向かっていきます。
テンポのよい戦闘シーンは必見。異能バトルの醍醐味である、技の駆け引きに心が躍ります。
そして、何より魅力的なのはダイアナとデイビッドの関係性です。二人は異性のコンビですが、惚れた腫れたはよそにした信頼関係があり、互いが互いの不足を補える黄金コンビです。
掛け合いにもくすくす笑える楽しさがあったり、心熱くなる絆が垣間見えたり、日常パートでも飽きることがありません。
アメリカらしい空気感の漂う物語は、同じ極めし者シリーズでも、前作とはまた違った味わいを楽しめます(説明が丁寧なので、この作品単体でも楽しめると思いますが!)
安心と信頼の爽快な完結作品、この機にぜひご覧になってはいかがでしょうか!