エピローグ
『未だ、全国では「家具や家電製品が少女になる」という異常現象が続いているようですが――』
あの異常事態を知らせるニュースは、今も時折流れている。
そして、陶子との生活も変わらず続いていた。
だが、変わったこともたくさんある。
例えば、
「よし! 今日も綺麗ね……うんっ! 可愛いわ!」
陶子はあれほど敵視していた新しく施工されたトイレを可愛がるようになった。
専用のマイクロファイバークロスで便器を磨く様が、俺には妹の頭を撫でているように見える……と、言ったら流石に変だろうか?
「おーい、そろそろできるぞ! 皿、皿!」
「はーい!」
かくいう俺も、多少料理が上達した。
陶子がもってきた皿へ、綺麗な焼き色のついた黄色いオムレツを乗せる。
「あー♪ ふわふわのやつだ!」
「ん、オムレツな。オムレツ」
その後、二人で食卓を囲み一緒にご飯を食べる。
これだけは、きっと……これからも変わらない。
「陶子、新しいトイレに優しくなったよな?」
「んー?」
食事中に訊ねると、陶子は上手に箸でオムレツをつまみながら答える。
「だって、私にとって妹みたいなものじゃない?」
彼女はにっと微笑むと、トイレの方へ目線を向け、
「あの子も、いつか人間になったりするのかしら?」
なんて、冗談を口にした。
そう、この時は冗談だと思っていたのだが――……
◇ ◇ ◇
「ねぇ! ちょっと来て! これ見てよ!」
「お、おい? 陶子!?」
陶子に呼ばれるまま、トイレへ走る。
すると――、
陶器みたいな白い肌。
宝石と見紛う程に澄んだ青い瞳。
「……おねえちゃんたち……だれ?」
――そこには陶子を縦に縮めたような、幼い女の子がいた。
「ねぇ! この子の名前はどうするの?」
-完-
このスケベンキっ!~下の世話をしたがる彼女の更生ライフ~ 奈名瀬 @nanase-tomoya
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