何故か、奉られた

「、、、。」

「むぃ、むぃ!」

「ぷりゅ!」

「ありがとう」

「ぷきゅ~!」


私はもっふもふの毛玉にリンゴを貰ってお礼を言った。

(この子達は何で私の事を奉ってるんだろう?けど、今はあの人をどうするかだな。私は動けないし、黒い狼くんはこの中に入れないし、、毛玉くん?達も私の顔くらいの大きさしかない)


私が悩んでいるのは2日前の夜に見つけた、人の形をした石をどうやって外に運ぶかという事と、私の足首に付いてる鎖をどう外すかという事を悩んでいるのだ。




2日前の夜、洞窟



私とイズミはドアから洞窟の中に入った。

入り口の近くは何の音もしないので近くにモンスターが居ないと思って進んだ。


「イズミ、あと少しだけ進んで何も無かったら黒い狼くんの所に戻ろうね?」

「みぃ!」


細い一本道を50メートルくらい進むと広くて大きな空間があったので何も居ないか中の音を聞いたけど、何の音もしないので中に入り明かりをつけた。

ちなみに、明かりをつけたのは魔法道具で真珠みたいな見た目をしていて、魔力を込めると明かりがつくのだ。


「みぃ!」

「どうした?イズミ」

「みぃみぃ!」

「ん?あれは、石?、、、違う、人?」


イズミの鳴いた方向を見ると人の形をした石が倒れてたので、その石に近づく。

(この石、人だ。魔法か何かで石にされたんだ!)


「うっ!重い。私だけじゃ運べないな。イズミ、一度黒い狼くんの所に戻ろう?」

「みぃ!」


私達は一度黒い狼くんの所に戻った。


「黒い狼くん!コレは君の主人の物かな?」

「スンスン、ワン!」

「主人の物なんだね?」

「ワン!」


私は石の近くにあった鞄を黒い狼くんに渡すと黒い狼くんは匂いを嗅いで主人の物だと言った。

(やっぱりか。さっきの町に戻って魔法に詳しい人に見てもらった方が良いんだろうけど、、、、)


「黒い狼くん。私達を近くの町に連れて行ってくれるかな?」

「ワン!」


私達は黒い狼くんに乗って町に向かった。



町の近くに着いたので、少し町の様子を見る。

(やっぱり、この町に近づくと悪性が濃くなってたからな~。この町も悪性に覆われてる。あの男が戻って来たか、あの男に仲間が居てこの町を悪性まみれにしたんだ。町に入ったら捕まるかもしれないし、一度戻ろう)


「黒い狼くん、一度戻ろう?」

「ワン!」

「戻ったら、一度あの洞窟に入って君の主人の様子を見てみるね?」

「ワン!」


私達は悪性まみれになってしまった町を離れて洞窟の所に戻る。



洞窟の所に戻ったので、黒い狼くんの主人の様子見る為にまた洞窟に入ろうとして、一度黒い狼くんを見る。

(、、、万が一の為に黒い狼くんに言っておいた方が良いかな?)


「黒い狼くん」

「クゥン?」

「もし、万が一、悪性が、、、嫌な気配が近づいたら隠れてくれる?」

「ワン?」

「君に何かあったら嫌だし、君に何かあったら私達は何も出来ないと思うから、隠れてやり過ごしてくれるかな?」

「、、、ワン!」

「ん、ありがとう」


そして、洞窟の中に入って黒い狼くんの主人のの所に向かった。


「やっぱり、私だけじゃ動かせないな」

「みぃ?」

「今は町に行っても悪性まみれだし、どうしようか、、!誰かこっちに向かって来てる?」

「みぃ!」


私達が来た道から誰かが歩いている音がした。

(ここら辺に隠れる所は無いし、この人をほっぽり出して奥に行く事も出来ない、、、)


「イズミは隠れてやり過ごしてから外に居る黒い狼くんが無事か確かめて来てくれる?」

「みぃ、、、みゃあ!」

「うん、ありがとう。早く隠れて」


私は鞄からまだ使ってない予備の布を出して石にかけて隠した。

(来た!)


「そこに居るのは誰だ!、、、吟遊詩人?何をしている!」

「私は2日前からこの洞窟の中に居るのですが仲間とはぐれてしまって、あなたはどうかしたのですか?」

「2日前?ならお前は違うか、、だが吟遊詩人か、、そこを動くなよ?」

「あの、何か?なっ!何を!」

“ガシャン”

「魔法道具の鎖だから吟遊詩人のお前には外す事は出来ない。神聖者では無いが吟遊詩人も我々は集めているからな。しばらくここで待っていろ!3日後に迎えに来るからな」


そう言って男は3日分の食料を置いて出て行った。

(この鎖、魔法道具って言ってたな。まぁ、地面に鎖の片方が埋まってるもんね)


「みぃ!」

「イズミ、黒い狼くんの所に行ってくれる?」

「、、、みぃ!」


イズミは頷いて黒い狼くんの所に向かった。

そのあと直ぐにモンスターの声が聞こえ、こっちに向かってくるのが分かった。

(私は今、動けないし、ヤバいな)


「むぃむぃ、ぷりゅ」

「ぷきゅ、むぃ!」

「、、、丸い毛玉?」


毛玉のモンスター達が私に気づいて近づいて来た。

(近づいて来た!どうしよう?)


「むぃ?むぃむぃ!」

「ぷきゅ!」

「あ、鎖に触るのは危ないよ?」

“ビリッ”

「ぷきゅ~!」

「ほら、危ないから触ったら駄目だよ?ってみんな混乱してる。、、、はぁ、仕方ないか」


鎖を触っていたら電気が出て驚いて混乱した毛玉のモンスター達に私は落ち着かせる為に歌を唄った。

(混乱を治す歌を、、、子守唄の方が良いかな?)


「♪~♪~♪♪~♪ー♪」

「むぃ、、、」

「ぷりゅう~、、、」

「~♪~♪~、、みんな寝ちゃった」


毛玉達は眠ってしまったみたいだ。

近くに居る子を撫でるともっふもふだった。

(可愛いな。、、、私も少し眠くなってきたな。イズミが帰ってくるまで少し寝てよう)




イズミの声が聞こえたので起きる。


「みぃ!」

「ん、イズミ?」

「みゃあ!」

「帰って来たんだ、黒い狼くんは無事だった?」

「みぃ!」

「無事だったみたいだね。、、、って何コレ?」


私の周りにはお花が沢山あった。

お花の所に居る毛玉達は私に向かって頭を下げて居る。

毛玉の一匹が私の所に来て綺麗な花束を私にそっと渡した。

(手って何処にあるんだろう?って違う!この花達はこの毛玉達が持って来たのかな?)


「みんな、顔を上げてくれるかな?そんなにうやうやしくされるよりは君達が楽しくしてる方が私は好きだな」

「むぃ!」

「ぷりゅ、ぷきゅ、むぃ!」


毛玉達は顔を上げて元気良く跳ねた。




現在、洞窟の中



それから毛玉達は私には少しうやうやしく接するけどあまりかしこまらなくなった。

(けど、お花はいっぱい持って来てくれるし、食べ物を見つけたら最初に私に渡してくるんだけど、私がみんなで食べようって言わないと自分で見つけた食べ物なのに一切手を出さないんだよね。それに、私を奉ってるみたいだけど何でだろう?)


「~、~!」

「~、~!ー!」

「ー!ー!」

「~。~」


洞窟の奥から人の声が聞こえてきた。

(何で奥から?しかも何か、、、)


だんだん近づいて来た声の主が私の居る所に来て姿を現した。


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乙女系ギャルゲーRPGの世界に生まれた私はモブの中のモブ? あおい夜 @suzakumon

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