第5話魔法使いの家

勇者アランの前に突然現れた木造建ての一軒家が森の中で建っていた。

この国では珍しい建物のようで勇者アランは戸惑いが合った。

「……本当に突然現れるとは思いもしなかったな…何か不思議な感じが…ビリビリと身体に針が刺すような感じがするが、この建物に間違いないだろうか……」

勇者アランは、ゆっくりと木造の建物に近付き扉を見つけたが開け方が分からず玄関の前に立ち往生していた時だった。

「ガラッ!…チリリン……」

中から扉が横に開き目の前には女の子が立っていた。

茶色の髪の毛を頭のてっぺんに髪の毛をピンク色のリボンで束ねた癖毛に、顔立ちは目がパッチリと大きな茶色の瞳をして、貴族のドレスでも平民の服でも違う初めて見る変わった服を着ている女の子は、両腕の袖が長く女性が着るドレスが短くなり、太ももが見えるピンク色の服が似合う10代の女の子だ。

女の子は勇者アランを見上げ、身長が190㎝の勇者アランと150cmの女の子はジロジロと見た後大きなため息を吐いていた。

勇者アランはまさか自分の容姿を見て、ため息を吐くとは思わず少しショックを受けていた。

普段は女性達は皆頬を染め目がトロン…となる姿を何度も見ていたが、この目の前にいる女の子は残念なため息を吐く姿だった。

「……あの…此処は魔法使いと呼ばれる者の屋敷ですか?」

「…ええ、そうよ貴方は勇者なの?」

(まだ俺の事を勇者だと名乗っていないのだが…装備を見て分かったのか?)

「はい、アランと申します。王都から王の命令で来ました。それで、魔法使いの方は……」

「……簡単には会わせる事は出来ないわ!その『魔法使い』の呼び名も勝手に付けられて、私達は迷惑しているのよ。それにあの方は傷付けやすいの…人間は勝手よね自分達が無理だと分かると皆彼に押し付けるのだから」

「……それは…」

勇者アランが言いかけた時、女の子の方から凄まじい魔物の気を感じた。

「!?」

ザザザザ…魔物の妖気を放ち、勇者アランに浴びせる女の子に勇者アランは後方に下がり、腰にある剣に手を掛けた。

「っ…まさか魔物!?」

怯まない勇者の姿を見て不敵な笑みを見せる女の子が声を掛けた。

「ふふっ、流石と褒めてあげるわ勇者様。私の気で闘う構えをするなんて、その姿はお飾りだけと思っていたわ」

「…何故、魔物が魔法使いと一緒にいる?」

「あの方は私の命の恩人そして貴方のような容姿を持った人間はあの方が苦手なのよ、会わせる訳にはいかないわ」

「!し、しかし、私は彼に会わなければ…」

「知らないわそんな事、このまま私と殺り合いをするか、それとも負け越しで帰るのか。どちらを選びますか?」

「っ…」

カチャッ!と腰に剣を握る手に力が入る勇者アラン

「ルル?君の気が感じるけどどうしたんだ?」

「「!!」」

家の中から男性の声が聞こえ…ズダダダダ!と凄い音が聞こえた。

「うああ~っ!?」

「だ、旦那様!?」

今まで張りつめていた空気が解かれ、女の子は慌てたように家の中に入る姿を、勇者アランは暫くその場から動けなかった。



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勇者と魔法使い 冬猫 @meknko

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