6 君と過ごした時間
あれから2週間が過ぎた。結唯が亡くなってから、すごいスピードで過ぎていった。
結唯が亡くなった後、大会の帰りに部員全員に遠堂先生から結唯が病気で亡くなった事を告げた。帰りのバスは、みんなして涙を流した。声を出しながら泣いた人、声を出すのを我慢した人とそれぞれ。
2日後に全校集会が#行__おこな__#われ、校長から結唯が亡くなった事を伝えられた。
俺は、3日ほど気持ちの生理がつかなかった。恋人である結唯を失ってしまった事は、俺の心の中が空っぽになったと一緒だった。3日間、部屋から出られない時に親友の冬馬の言葉で、ようやく立ち上がる事ができた。
『いつまでそうしているんだよ。今の姿を結唯ちゃんが見たら、泣くぞ。あの明るい結唯ちゃんが』
その言葉で立ち上がる事ができた。自分がくよくよしている姿を結唯は見たくないだろうとふるいただせて。
そのあとに結唯の葬式にも出た。その時に結唯のお母さんから手紙を貰った。その時に一言、言われたのだ。
手紙は、自分のお墓で一人で見てほしいと。
だから俺は今、結唯のお墓のところにいた。学校の制服を着て、足元には鞄がある。なぜ、制服かというと、今日が地区大会だからだ。
夏の大会で金賞をとった俺達は、次の大会にでる権利をとったからだ。だから学校に行く前に結唯のお墓に来て、手紙を読もうと思った。だから家を早く出て、ここに来た。
結唯からの願い、遺言を守る為に。
手紙はなんだか、ずっと開けずいて、今日、開けてほしい、今日の為となぜか、不思議とそう思えた。
だからここにいる。俺は手紙を開けた。
ー 達也へ ー
この手紙が達也の手元にある時は、私はもうこの世にはいないでしょう。先に言っておくね、ごめんね。実は私の病気、持病があったの。
学校で倒れて次の日に検査をしたらガンだった。長く生きられないって言われた時は、目の前が真っ暗だった。自分でもなかなか受け入れできなくって、夜、ベットで泣いて、達也や部活のみんなには、話すなんて出来なかった。
だから、お母さんとお父さんにお願いして秘密にしてもらったの。もちろん先生にも。
始めは検査しないと分からないとか言って。次に風邪を引いて様子を見るのが、長くなったとか、いろいろ。
お母さんやお父さんにも悪い事をお願いした。何より達也には、知られたくなかった。
達也は嘘が下手だから、部活のみんなの前で嘘は隠せない、すぐにバレると思ったの。当たりだよね。
でも、これだけは言っておくよ。私ね、本当に達也と一緒にいられて良かったよ。二人だけの秘密の場所、水族館で手を握ってエスコートしてくれた事、二人の夢を忘れないでいてくれた事。本当に嬉しかったし、楽しかった。
だから、ありがとう。ずっと好きだよ
ー 結唯 ー
「……結唯。俺だってありがとう。結唯がいたから部活は頑張れた。結唯が恋人になってくれた時は、どれだけ嬉しかったか。だから、俺からも一言、ありがとう。本当に。俺と一緒にいてくれてありがとう、結唯」
俺は結唯から貰った手紙を読んで、自分の思いを呟いた。手紙を丁寧に元に戻して鞄にしまった。そしてスマホを見て、鞄にしまった。
「そろそろ、行かないと。じゃあ、結唯、もう行くね。今日は、地区大会なんだ。そこでも金賞をとって全国を目指すよ。必ずいい結果を残すよ。そして結唯にも知らせるよ。だから結唯、見守っていてよ。じゃあ、行ってきます」
俺はその場から離れるようとしたら、強い風がふいた。
ー達也なら大丈夫だよー
「えっ!」
一瞬、結唯の声が聞こえたかのような、そんな気がして後ろを見た。
そこには一輪の小さな花が揺れていた。
「完」
青空のメロディー ~君と過ごした時間~ 神崎 あやめ @Ayme
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