第2話 あなたは私のおもちゃなんだから

『図書館の学習室』【乙】


「おつ君だよね?」


背後からひざをカックンとされ、倒れこむ僕に誰かが声をかけた。

もちろん声の主はカックンした犯人に違いない。


僕は頭が良くなる成分が入っていると噂の、まだ半分も飲んでない炭酸ドリンクを辛うじて死守しながら答えた。


「違います」


僕の名前は「おつ」ではなく「きのと」だ。

そして、僕の事を「おつ」と呼ぶ人間は限られている。


「久しぶり、道場に来ないから心配してたんだよ」

「来年は中三だし、受験に専念しようと思って」


学区で、一番偏差値の高い私立の女子中学校の制服。

声の主は去年まで同じ弓道場に通っていた伊織だ。


今まで弓道着姿しか見たことはなかったけど、伊織のブレザーにスカート姿は初めてだ。


そして、下から見あげる僕の視線に伊織は気にする様子はなかった。

まだ子どもだと思ってるんだ。


「勉強ねえ、おつ君のくせに、あなたは私のおもちゃなんだから、私に遊ばれてればいいのよ」


お・おもちゃ!人ですらなかった。うん、今更驚くことでもないか。


物心ついた時から、おもちゃ扱いだったのは事実だが、僕だってもう中2だ。

断固とした態度で抗議する時期に来てるはずだ!


僕が、そう決意した瞬間、窓の外から爽やかな風が吹き、伊織の制服のスカートかひらりと、伊織の柔らかそうな太ももの奥に、パンツの小さなリボンが見えた。


何度か見た事はあるが、それでも僕の決心は揺らいだ。


僕の定義によれば、美少女はそのレベルが上がれば上がるほど、パンツの見える確立が下がっていく。


100点満点で言えば、80点台からほぼ見ることは出来なくなる。

まして、他校にまでその可愛さが知れ渡っている伊織のパンツが見える確立など、ゼロに等しい。


しかし、おもちゃとしてなら見る確率は70%はあがる。


すべてのプライドを捨て去り、おもちゃに成り下がれば、可能なのだ。

何故なら、おもちゃごときにガードは掛けない。


心の中にいる賢者風なキャラが、言った。

「少年よ、プライドを捨て、欲望に生きるのだ」

なんか情けない。



つづく

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放課後は重装弓騎兵部ゑ 五木史人 @ituki-siso

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