第2話

「おは!、飛眼」


「おはよう、魅利」


気が少し軽くなる。


「おはよう、飛眼」


「んん、おはよう態智」


「そうそう、今日の放課後、少し時間いいか?」


「いいよ」


どうせ今日死ぬし、いいだろう。


俺はいつもより授業に集中できない。

だんだん体の感覚が失ってきている。

俺は頑張ったからいいかな、今日ばかりは。





放課後になる。

俺と態智は教室に居るが話しかけてこず魅利と少し話すと魅利は教室を出ていった。

俺と態智以外いない教室。


「飛眼少し待っていろ」


そういい態智は教室を出ていく。


数分後、誰かが入ってくる。


「あ、魅利」


顔真っ赤にした魅利だった。


「どうしたの?」


「私は‥‥私は」


もじもじしているがなにか言おうとしている。


「ふぅ」


魅利は息をつくと覚悟を決めるように、


「私はあなたのことです、付き合ってください!」


俺は少し口を開け驚く。

でも決まっている。

俺はかばんから紙を取り出す。


魅利に渡す。


「今日の夜七時に読んでくれ」


「わかった」


魅利は紙を受け取ると教室を出ていった。

俺は勘違いをしていた。

態智は協力していたんだ、そう分かるが、


「もう、意味がないんだ」


俺が以外いない教室で呟くのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー


私は嬉しかった。


返事が恥ずかしくて手紙かなと。


帰路を辿っている時にあることを思ってしまう。

この手紙は事前に準備されたものだから前々から伝えようとしたものかも。

飛眼がよく病院に行っていることは知っている、だからもしかして悪化したとか。

今は暗いことを考えないようにしよう。



家に着き、テレビを見る。


「魅利、かばんを片付けなさい」


「はーい」


母に言われるが気にしない。


そうしていると六時半になる。


「飛眼ごめんね」


私は手紙を見る。


『俺は持病で死ぬことだ。』



「え?」


帰路に辿っていた時に考えていたことが当たったのだ。

私はすぐに家を飛び出す。


「もしもし」


態智に電話する。


「なんだ、魅利?」


「飛眼の家にすぐ来て!!」


「わ、わかった」


電話を切ると、さらにスピードを上げ走る。


そして数分すると飛眼の家が見えてくる。

私と態智は何回も来ているから分かっている。


すると、向かいから人が歩いてくる。


「あ、飛眼」


偶然会ったかのようにする。


「息切れているけど、そこの公園で休もう」


「うん」


近くの公園のベンチに飛眼と一緒に座る。


私の息切れが収まってくると、


「魅利はもう手紙を読んだでしょ」


「読んでないよ」


「嘘はつかなくていい、あとプレゼント」


白と赤の彼岸花を一輪ずつラッピングしたものを渡された。


渡され、手に取ると、


「ごめん」


飛眼は走っていく。

私は追いかけようとするが動けない。

まるで心のどこかで追いかけるなと言っている自分がいる。


そうしている内にも飛眼は遠くなっていく。


「どうした!?魅利」


態智が来た、多分見えたんだろうな。

そんなことより、


「し、白と赤の彼岸花の花言葉はなに?」


「白は思うはあなた一人、また会う日を楽しみに、赤は情熱や再会などだがどうしてそんなことを?」


そうなんだ、飛眼は私のことを

好きだったんだ。


「魅利、え?」


涙が出てきて止まらない。


「どうした?」


「止まらない」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は苦しかった。

もう生きていらない気持ちとあの場から逃げたことだ。

体の感覚がほとんどない状態で走って家の庭に向かった。

俺は咲いた彼岸花の近くで倒れる。

走っている時から出ている涙は止まらない。


目が閉じる。

そして意識がなくなった。




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彼岸花に思いお 隴前 @rousama

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