怠惰くんは怯えています

あの後、夕方まで2人でごろごろイチャイチャしていた。


この後は夕食があるので途中で食堂に行く。


夕食の時は孤児院のみんなが揃って座っていたので、僕も指定席に座る。


指定席といっても仲のいい人とテーブルを囲む形で、僕はリームちゃん、ニールさん、院長と一緒だ。


「ネムくん、お昼のあとは何してたの?」


「ん?……あぁ、ニールお姉ちゃんと大事な話をしてたんだ」


嘘は言っていない抽象的表現


今にして思えば、僕は女の子にキスされた後、別の女の子と寝ていた。客観的に見ればただのクズだが、僕は全部された側である。


僕は被害者だ犯人はみんなそう言う


「とーっても大事な話をしてたのよねー♪2人の将来のこととか♪」


やめてくれ。本当のことだけど、それじゃあ将来を誓い合った恋人みたいじゃないか。


…案外あり?


「へ、へーそうなんだー。ネムくん、後で部屋にきて。絶対。」


はい…こわひ


「まぁ、私も朝はネムくんと甘い時間を過ごして、あーんな恥ずかしいことしちゃったし。この後次第では大目に見ましょうか」


「…。へぇ。甘い時間…。恥ずかしい事ねぇ…。ネムくん、今日も一緒に寝なさい?」


あい…諦め


そんなこんなで僕は寝る前に2つもやることができてしまった。


「それでは私もネムくんとお時かn…」


「あ゙?」


ありがとうございます!そんな目で見ないで!…間違えた、そんな目で見ないで!ありがとうございます!


院長が何か言ってるが、彼はもう雑音ノイズだ。関わるだけ無駄だろう。


その後はとても圧力のある雑談をして、食べ終わった。この後への恐怖で夕食の味が分からなかった。


さて、まずはリームちゃんの部屋に行くとしよう。

食堂からそのままリームちゃんの部屋へ。


「お邪魔します」


「はい、どうぞ。そこに座って?正座しろ


「はい!」


即座に正座に移行する。賢い行動をしなければ。


「まず、私が頑張ってあ、あんな事したあと、ネムくんはいかにも冷静な顔をして部屋を出た。その後ニールさんと将来のお話。…どうして?私ってそんなに魅力ない?」


「2つ、間違いを訂正したい。」


「聞いてあげる」


「1つは君のキス。された後は夢の中みたいで、でも眠れないほどドキドキして…あの時なんて言ったかも正直覚えていない。その後も顔がゆるゆるで、お昼寝した後も少ししあわせの余韻があった」


恥ずかしいけど、本当のことを言おう。大人びた印象があるけれど、リームちゃんは3歳児だ。誤魔化さない方がいいだろう。


「へ、へぇ…///」


「2つ目、これは…明日話そうか、ニールお姉ちゃんを交えて。僕が話していい事でもないし、大っぴらにすることでも無いんだ」


「全く釈然としないけど、明日ね。わかったよ」


「うん、この後ニールお姉ちゃんにも言っておくよ」


誠意を持って、本当のことを言えば伝わる。うん、やっぱりこんなに可愛い子が怖いわけな────


「まだ話は終わってないよ。私に贈り物をくれたけど、それは何人に渡したのかな?ニールさんにも渡したんだよね?」


…訂正。こわひ。


「3人です…。シールさんと、リームちゃんと、ニールお姉ちゃん」


「へぇ…。まぁ、全員お世話になってるし、私だけ、なんて言ってもない。私が勘違いしちゃっただけか〜」


勘違い…?よくわからないけど、リームちゃんが寂しそうな顔をしている。


「ネムくん、正直に答えて?ネムくんは恋をしたことある?」


「ない…と思う。みんなのことは好きだけど、それが恋愛なのか、親愛なのか、友愛なのか。考えてもわからないんだ。」


「じゃあ…その中で1人を選べる?」


わからない。

控井さん、シールさん、リームちゃん、ニールお姉ちゃん。

僕に優しくしてくれた人は、みんな好きだと思っている。それをその中で選ぶとか、順番をつけるなんてしたくない。


「選べないよ。誰か1人なんて選べない」


「ふーん…でもいいのよ。(できれば私1人がよかったけど) …幸い、ネムくんは男の子。お嫁さんは何人でも選べるの」


ん?なんて?


「どーゆーこと?」


「一夫多妻って言ってね?女の子は1人だけとしか結婚できないけど、男の子はお嫁さん全員の了解があれば、何人でも結婚できるんだよ」


異世界すごー…。


「今日は遅いし、言いたいことは明日言うことにするね。だから今日はおやすみなさい」


「あ…うん。おやすみ」


そう言って部屋を出る。


話し足りないというか、途中で切られるとなんかもやもやする。


僕もいまさっき同じことしてたじゃん。もやもや一勝一敗だね。


切り替えるためにお風呂に入り、スウェットとパーカーに着替える。ねこじろう抱き枕とは今日は一緒に寝れないので、置いていく。


ニールさんの部屋に着いたので、ノックする。


「ニールお姉ちゃん、入っていい?」


「どーぞ」


「お邪魔し──んむっ」


入った瞬間ニールお姉ちゃんに抱きつかれる。


「ネムくん。さっきのリームちゃんの話、教えてくれるまで抱っこしたまま離さないんだから」


いつも朝まで離してくれないが。


そんな野暮なことは言わないけれど、本当のことを話そう。言い訳は無駄な厄を招く。


「リームちゃんにも贈り物をあげたんだよ。そしたら…その…(キスをおでこに)されて…///」


恥ずかしくて声が出ない。


「…はぁ。聞こえないけど大体わかったわ」


わかってくれたようだ。でもなんか…呆れたような声だった。


「あ、そうだ。ニールお姉ちゃんと、リームちゃんと明日話したいことがあるんだ。今日話したこととか、色々」


慌てて話題を変える…まぁ、変えきれてないけど。眠くて頭が回らない。


「んー…。まぁ、あの子ならいいかしらね。分かったわ」


「うん。よろしくね。…まだまだ話してたいけど、もう眠いよ。おやす…み…」


すごく眠い。なんなら昼寝も夕寝もしたが。


これもニールさんがいい匂いで抱きついてくるからだ。僕は悪くない。


「もぅ…。こんな可愛い寝顔されたら怒れないじゃない。…おやすみ♪」


ニールさんの撫でる感覚を感じながら、僕は眠りについた。

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怠惰くんは頼っている はせべ さにぃ @ordin

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