美雲の旅記
朝霧美雲
第1話「2021年になりました」
その年のその日の始まりは、私にとっては深夜の2時でした。
今年は絶賛というかなんといいますか、コロナは昨年に引き続き多大な影響を及ぼしていました。
ですから多少「寄る」という行動に制限がかかりますし、大変な事も結構ありましたね。
「コロナのせいでイートインが使えないのは辛いですね」
「ええ、なのでこのカレーメシで辛さと熱さで暖を取ろうかと」
午後の4時を過ぎた頃、私はそんな会話をコンビニ店員としながら支払いを済ませました。ポッドで湧いた熱いお湯を注いで5分程度待たなきゃいけないんですが。
あまりにも寒くて、私は再びコンビニ店内へ入り缶コーヒーを一本購入。
すると5分が過ぎていたのでゆっくり食べ進めました。冷ますわけにもいかないのであちあち言いながらカレーメシを食します。途中で通る車に
「どうせ暖房つけて快適なんでしょう。こっちは寒い中暖をとろうと必死なのに」
と睨むように見ながら呟いたのですが、私の自業自得でもあります。なんとも言えません。
食べ終わって走り出しても決して「暖かい」かと言えばそんなわけないじゃないですか。確かに体の中は熱いですが、そんなものすぐに冷えていくわけです。
場所は県道416号付近を走り、「やっぱりいるんだ」と一言。県道416号線は静岡県の半ばくらいにある綺麗な景色を拝めるスポットなのですが、既にウンザリするほど車が停まっていました。車はいいですね。風を凌げて暖を取れて。
じゃあバイクじゃなくて車に乗ればいいじゃん?違うんですよね。確かに私は上記の事をよく言いますが、バイクでの旅というのは車での旅とは違って原始的です。
そもそも旅というのは時に過酷な環境に身を晒さねばなりません。それが旅だと認識しています。だから私は旅をしているんです。
話を戻して、416号線から清水へ向かうルートを選びました。そこからも時折長めの休憩を取りながら、旅を続けました。まあ、旅と言ってもどんなに長くてもその日のうちに家に戻るわけですが。
ところで、皆様はご存知でしょうか?純粋に体を温めたいのであれば珈琲よりもココアを選ぶといいですよ。カフェインは珈琲と比べると少なく、眠気覚ましには適しませんが。
それから午後6時を過ぎた頃に、私は知らぬ地の海岸へ到着しました。静岡県の清水のどこかの海岸。そこで私は日の出を拝もうとバイクを停めてから降りました。
しばらくして車に乗った老夫婦の方と話す機会があったので、色々な事を話しました。今となっては記憶が少しあいまいになってしまっていますが、2020年の感想みたいな事や、これからの事、これからの願いなど。
やがて出た日の出は昨年とは違い、これからの情勢が明るくなっていく事を示唆してほしいくらいの綺麗な日の出でした。ふと隣に目をやれば、何を願っていたのかはわかりませんが、手を合わせて拝んでいる老夫婦のお二方が見えました。
写真に取ったり、初日の出へ願い事をしたり。それが終わって再びお話をして、いつもの様に私は「いい年になるといいですね。もしまたどこかで会えたら、またお話をしましょう」とその場を後にしました。
私がそう言って別れを済ませて以来、再会を果たした人は今のところいません。
ですが、それでも私は最後にそう告げる事をやめるつもりなないんです。
本当に「また会ってお話をしましょう」と願っていますから。
帰り道、私は適度な休憩を取りながら珈琲を飲んだりして眠気覚ましをしながら数時間かけて家へと帰りました。
2021年最初の旅はこれにて終わりですね。次はもっと遠くの、まだ行った事の無い地への旅をして、その出来事などを綴りたいものです。
美雲の旅記 朝霧美雲 @Mikumo_Asagiri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。美雲の旅記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
マッチングアプリでの失敗談最新/さくら
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 6話
大富豪ゲーム第2章~詐欺宗教と戦った記録~新作/リンダ
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
未言日記最新/奈月遥
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,057話
ただ彼のことだけ新作/himawari
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます