第4話『うっかり助手さん・・存在編』



  うっかり桃田さん・・、



  若い頃は、杉田さんと言いましたが、


  うっかり杉田薫さん・・・。





  小さい頃は、泣きべそ 薫さんでした・・。




  家族は、5人兄弟の  真ん中。



  上にいじめられ、

  下の子には、お母さんもお父さんも、

  


  大切にして、



  薫さん・・

  いじられ、いじめられっ子役・・。



    そして、陰で、

  いつも泣いておりました・・。



  近所の太郎君が、

  その泣きべそ薫さんが泣いている所を、見付けて、



  「おい、薫!!泣いているのか!!」



  『この  泣き虫!!!』

  と、強ーく、言いました。



  その頃の薫さん・・、

  まるで、

  ガラスのビー玉が、ぐちゃぐちゃに、割れた様でした・・。





  誰にも当るところ等無く・・。




  つい、小石を、コツンと蹴ると、



  ヒューン、バシ!!



  小石が、近所の  新車に当たってしまいました・・・・。



  それを、偶然見ていた近所のおばさん!!!



  『コラ!!!  薫!!  何をしているんだ!!!』



  この事が、大っぴらになって・・・・・



  本当に、ひどく家族のお父さんお母さんに、

  怒られました・・。



  杉田薫さん、まだ、4歳・・・。










  もう、家出したくなりました・・。



  道を、泣きながら歩いていると

  


  カラスが、一匹・・。

  


  ビー玉を、咥えているのを

  偶然落しました・・。



  泣きべそ  薫さん・・。

  


  ちょっと、それを拾って

  ニッコリ。



  


  綺麗な  ビー玉を撫で撫でして、

  又、歩いていると

  野犬が、一匹・・・



  チョコレートの破片を、

  咥えていました・・。



その頃の  泣きべそ薫さんは、

  お腹  ペコペコ・・・・・。

  じっーと  野犬の、太多君を

  見ていると、

  



  太多君、



  こっちに走って来て、



  ニッコリ、半分  チョコレートを

  落として

  どこかへ行ってしまいました・・・。






  その頃の  泣きべそ薫さん・・。



  嬉しそうに

  チョコレートの  切れ端を

  拾って、

  着ていた服で、

  ちょこっと拭いて、

  



  大きな口を開けて、

  


  一口・・・・・。



  甘ーい香りと、


  甘ーい

  砂糖の味・・・・・。



  ニーーーーコリ!!!!!








  太陽が、サンサンと

  照ってる

  ある一日でした・・。




  うっかり助手さん、


  その頃の泣きべそ薫さん・・、



  太陽の  サンサン輝くのと、



  カラスに貰ったビー玉と、



  野犬の太多君に貰った、

  ほんのり甘いチョコレートの味で、



  


  太陽に、ビー玉を

  当て、



  『私!!!  笑うわ!!!!!』

  


  と、心に決めました。



  


  その頃、うっかり、



  でも、もう、

  泣きべそ薫さんでは、

  有りません・・。

  


  実は、

  宿題を、カバンに入れるのを  忘れたり、



  くつ下を、体育の時間に、

  うっかり履くのを忘れたり、



  よーく、先生に、怒られましたが・・、



  学校から、帰る、帰り道、



  時々、10円玉を拾って、50円とか、100円に化ける、



  ポチポチガムと言われるのを買って、



  100円に当てたり・・・



 ニッコリ、帰り道の  猫ちゃんを撫で撫でしながら、

  当たった100円の中で、買った、

  イカの棒刺しを、

  上げたりしながら、



  愉しく暮らしていました😆

  

  その頃から、

  『な〜んか・・良い事ないかなぁーーー😆』と、考えるうっかり杉田薫さんが、

  出来ました😆

  







  うっかり助手さん、こないだ

  うっかり  一億円  当てましたが、



  今は、  900万だけ・・

  家の改築に  100万使ってしまいました・・。



  そして、大好きなアサヒ・スーパードライと、



  ちょっとした、

  おつまみ・・。



    やわらかい、カマンベールチーズ・・。









  そんな  桃田  うっかり助手さんが、



  このとある街の

  病院に、務める、



  

  実の理由・・・



  


  『私は、

  免許も資格もないけど、



  あの頃の様に、

  患者さんを  私の笑顔で、

  医院長よりも  元気に  

   したいんだ・・・・・。』



  面接の時は、

  そんな事も、

  言いませんでしたが、



  


  ここは、

  仕事で疲れ果てた人・・

  恋に破れ、

  傷付いた人・・



  もう、

  年老いて

  痴呆に  なった人・・

  など・・

  


  色んな人がいる、



  とある街の

  とある病院・・。



  うっかり助手さん、

  桃田さんが、

  ここに居る理由は、



  そーんな、

  泣きべその

  過去が  あったからでした・・・・・。

             続き・・  

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『うっかり助手さん』 矢田誠一 @yattyann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る