Episode 5 共有

 悟に依頼を断れた日本人形はとぼとぼと力なく歩いていた。

 呪物である日本人形は誰もその姿を見ることはできない。ただ、その日本人形の目はどこか遠くを見ている感じだった。

 日本人形は昔、家に飾られていた。その家は女の子が産まれ、健やかに育つことを願い、購入され飾られていた。

 女の子が小さな頃は良かった。いつも私の前に来ては「守ってくれてありがとう」って言ってくれていた。

 でも、女の子は成長していき、変わっていった。女の子が友人を家に連れて来た時、


「え、何その人形、怖い」


 女の子は何かを言いたげな顔をして、女の子は友達に、


「怖いけど、捨てたら呪われそうで」

「分かるぅ」


 という共感する声を友達は上げた。

 友達が帰った後、女の子は両親に日本人形を捨てるようにお願いした。

 日本人形は捨てられた。分からなかった。なぜ捨てられたのか分からなかった。理解できなかった。

 そうか、人間は成長すると共有をすることに長けるとことだ。

 ただ悲しかった。ただただ悲しかった。

 それがいつしか恨みに変わっていた。なぜ変わったのかわからなかった。

 人形は一人、とぼとぼ歩いていた。

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妖怪どもの依頼処 ぐち/WereHouse @ginchiyotachibana

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