いつか来る、霽れを待って。

第1話 僕は

｢何がしたいの｣

朝が来る。今日も寝れなかったなぁ。

学校、か。着替えて、鏡を見る。その度に、吐き気がする。ワイシャツにセーター、首にはネクタイ、そしてスカート。なんで、スラックスじゃダメなの。僕を僕として見てくれる人は、居ないのかな。

親の前、学校の前では、誰にでも笑顔で、親の言う事を聞く夜里香織として認知されている。あとは、唯一の桜坂女子校のネクタイ女子ということだろか。

本当は、スラックスを着たい。女の子じゃないもの。僕は中性、所謂Xジェンダーというやつだ。トランスジェンダー等は、世間でも多く知られるようになったが、Xジェンダーは知らない人が多い。まぁ、説明がややこしいので仕方の無い事なのけれど。でも、誰か1人でもいい。理解して、｢僕｣を受け入れて欲しい。でも、そんな願いが叶うはずがない事を、とっくの昔に、知っている。