青春ブランク
幼馴染とそのクラスメイトが何の他愛のない会話をしていると、羨ましくなってしまう。蘭も福寿も優しいから途中編入の凛冬が蚊帳の外になって疎外感を感じないようにひっそりと気遣ってくれる。それがとても嬉しくて、悲しい。周囲がどんなに騒いでいても全く気にも留めなかったのに。自分がまるで余所者になったような暗い心境を、彼らに気付かせてはいけない、気付かれると困る。せっかく二人が楽しそうに話しているのに、空気の読めない先輩のように凛冬までしゃしゃりでるわけにはいかない。
仲良く会話をする光景を見るのは、別に珍しい事じゃない。蘭と再会した時からずっとそうだ。休み時間にもなればどこでも見られる、有り触れたもの。放課後になればモデルの仕事に行く蘭をナンパ防止で福寿が同行する。
他の交流は、相手を傷つけたりしないように一歩引いているように見える。けれどこの二人にはそれがない、感じられない、見つけられない。そもそも、初めからそんな隔たりは無いのだと思う。凛冬はそれが羨ましいし、妬ましい。凛冬もいつかそんな風に蘭と会話をしたいと思うけれど空いた時間は、取り戻せない。だから、
(僕と睦月君が、逆だったらいいのに)
(本当は、彼女とずっと一緒に居たかったから)
青春アンビバレンス 狂言巡 @k-meguri
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