第2話




「んね!何してんのぉ〜?」

低くてハスキーなのにだらしなく伸びのある女の声。

少し色気のあるその声は笑みを含んでいた。


こんなだらしのない声の主が、迎えに来る神聖な者のはずがない。


俺の行いが悪いから、底辺の使いが来たのか?


「無視しないでよぉ〜!んふふ〜!」


次の瞬間、何かを叩くような破裂音と頬に痛みを感じて目が冴えた。


病気でも事故にあったわけでも、死刑になったわけでもない自分に、迎えなんて来るはずがなくて。

俺のところに来たのは、道端で出会った初対面の女の、

ただの平手打ちだった。


目を開くとそこには、

頬をほんのりと赤く染め、酔っているのか初対面の俺に満面の笑みを向ける女がいた。


「ちょっと君、くさーい!」


綺麗な顔を歪ませ、鼻を摘んだ。


「……むか………く……女……。」


振り絞るその声は、震えていて消えそうだった。


「んお〜?まだ元気だね。

ゴミ漁って食糧にありつけば

もっと元気でるよ!」


挑発するような女の声に、言い返す気力もなく、俺はモッズコートのフードに顔を埋め意識を失った。

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ゴミ箱の横で出会った真面フマジメ女教師 冬蜜陽果 @wakasann

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