第7話 ユウト、逮捕

 通行人に通報されてユウトは兵士に連れて行かれた……。なんで、何でこんな事になったの……?新聞に載ったら、変態の集まりだと思われる!プレイじゃないです!誤解しないで!


「どうしましょう、ユウトさんが連れてかれましたわ」


 全裸のユウトを何の抵抗もせずに見送ったビィクトリアさんは、思案顔で言う。見捨てるか助けるかを考えてるのかなぁ?


「いつか、捕まると思ってたがこのタイミングか」


 サラッと言うけど、捕まるって思ってたの?バリスさんは腕を組みながら少し唸る。


 道行く人達が不思議そうに見て来た。立ち止まって野次馬に走る人達が増え始める。


「宿に行きましょう!」


 精一杯の明るい声を作り仲間達に呼び掛けた。全裸ならユウトが勇者だとは直ぐに分からないだろう。


 




 部屋にはパーティーメンバーが集まっている。みんなは難しい表情をしていていた。


「見捨てるか助ける、の二択です。」


 私は静かに告げる。様子を窺ってばかりで誰も切り出さなかったからだ。どっちでもリスクはある。メリットは無い。生きるか死ぬかの世界だ、無条件で助ける人は殆ど居ないだろうね。


「危ない目に遭ってでも助けたいです!ユウトは必ず、魔王を倒します!だから、」


「ユウトは公然ワイセツで捕まった。奴隷落ちか死刑だ。助けに行けば、俺達は国から追われる事になる!俺には家族がいるんだ‼︎」


 バリスさんとビィクトリアさんが真面目な話しをしてる。


「私にも守るべき民がいます。ユウトさんはそんな守るべき、民の一人です!」


「そんな理由で命を賭けるな‼︎ユウトは、ユウトはそんな大多数の内の一人でしか無いのか?」


 大多数の人間を一人で巨大な、国家という敵から護りたいと想えるのはなんで?全ての民に同じ施しを与える事は出来ない。民に尽くし国に殺される、それを肯定してるように聞こえた。


「私にとってユウトさんは世界で一番大好きな人です‼︎」


 顔はすっごく赤い。自分の想いに命を賭ける、この少女は中々のギャンブラーだった。


「スミスはどうしたい?」


 バリスさんがニヤけ面で聞いてくる。


「ユウトさんは掛け替えの無い、仲 間 じゃないですか!私達を信じて助けを待ってるはずです!全裸で‼︎だから、助けに行きましょう!」


「二人の気持ちは良くわかった。あの変態全裸は俺が助け出す!待ってろ!」



 颯爽とバリスさんは部屋を出て行く。今の時間帯なら人通りは少ない。全裸でもきっと大丈夫。そう信じてユウトから借りたトランプでビィクトリアさんと『おいちょかぶ』をしてから、眠りについた。凄く思い切りが良く、諦めずに食らいついて来る様な戦いで一緒に参加した宿のスタッフさん達も軽く引くレベルだった事は私達だけの秘密♪






 翌朝、ユウトはバリスさんのローブにくるまりながらシクシクと泣いていた。女性の兵士達から散々言われたそうだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目指せ!魔王討伐! 降花 @huruka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ