第6話 ユウト、金欠
朝、起きるとお腹が空いていなかった。夜に食べ過ぎたみたいね…。朝ご飯を食べずに城下町の裏道を散策する。表に無い良い物が売られている可能性があるからだ。早速、オンボロな店を見つける。
「いらっしゃい。」
鋭い目つきの老婆が本を読んでいた。
「私に合う装備と武器を見繕ってくださいませんか?」
ハート型の石がついたステッキと『魔法少女』と日本語で書かれているフード無しローブを渡された。
「合わせて5千ゴールドだよ。あんたならきっと使いこなせるさ。」
可愛いくてつい、買ってしまった。武器を見ていると剣、一本1000ゴールドのカゴを見つけてしまった。細部まで細かい装飾のほどかされた刀をいつのまにか手で持っていた。
「そいつはあんたじゃ使えないね。」
「どうしてですか?」
「妖刀だからだよ。」
「妖刀……」
私はそっと鞘から刀を抜く。綺麗な刀身だ。
「ば、馬鹿なー!」
「えっ⁉︎何?」
「認められた者しか、その刀を抜く事は出来ん。その刀は
なんか凄そうだけど……それにしては安すぎ!
「値段が優しいですね?」
「扱える者は居らんし、捨てても翌朝にはカゴにあるからの〜厄介払いじゃ……。」
よし、君に決めた!
「この刀も買います!」
「あいよ。」
魔法少女装備と刀の代金を支払うと老婆は嬉しそうに微笑んだ。魔法少女装備を身に付けてから草原に向かう。
そこには草木やモンスターの姿が無く、焼土と化した大地だけがあった。平和だった光景が脳裏に浮かぶ。被害に遭われた草木、ほぼ無害なモンスター達……ごめんなさい。
雨が降り始める。ルナは急いでギルドに向かった。
頭を抱えている冒険者の隣の席が空いて居たから、席についてランチメニューを頼む。頭を抱えている人以外が私に気付く。
「スミスか。偶然だな。」
「私もビックリしました!ユウトさんは、何かあったんですか?」
「それがな……破産、したんだ。」
「そうなんですか。」
バリスさんはかなり言葉を選んだと思う。何処で破産したか、言わなかったからだ。フウゾクで破産?一晩で?何その高級店。
「いくら使ったんですか?」
「2万5千ゴールド分だ。支払いが7千ゴールド残っている。」
バリスさんは静かに教えてくれた。嬢にもよるけど、接待時間を延長したらその位になるかも。どうしよう……ユウトが武器を携帯して無い!
「ユウトさんの武器はどうしたんですか?」
「夕食代の代わりになった。」
「……。」
武器捨ててどうすんの⁇馬鹿なの?
「よう、ユウト〜調子はどうだ?俺を倒したら有り金全部くれてやる。俺が勝ったらお前の持ち物を全部頂くぜ〜?」
「なんで持ち物なんだ?」
「金が無いのは直ぐ後ろの席で聴いてたからな。」
「受けて立つ!」
ユウトはフルボッコにされ、衣服を剥ぎ取られ服を暖炉で燃やされた。
「人の不幸で酒が美味い!イェイ‼︎」
先輩冒険者達は楽しそうだけど、これからを思うと笑えない。
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