おまけ〈見張りと見栄っ張り〉

 翌日の夜、門を見張る女の元へ少女がやってきた。

 女はまた口に手を突っ込んでいた。今晩も凍えるように寒いうえ、また雪で手を濡らして冷やしてしまっていた。


「あむあむあむ」


 少女は女の元まで歩いてくる。

 隣に立って小さな手を自分の口へ入れる。


「あむあむあむ」

「あむあむあむ」


 女は気にせずあむあむする。

 少女は横に立つ女を見上げながらあむあむする。


 しばらくして、少女は口から手を抜いた。

 そして、もう片方の手で女を手招きする。

 女はそれに気づき、首を傾げる。


「あむあむ……?」


 見ると、少女が手を差し出している。

 少女は言った。


「あむあむ」

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門番と少女 向日葵椎 @hima_see

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