くろのすたしす

Beyond THeadaches

モラトリアム

ある夜、けんかをした。



彼は声を荒げた。


私もそうした。


彼は私が間違っていると言った。


私は彼が間違っていると言った。


私は汚い言葉を使った。


彼もそうした。


私は彼が馬鹿だと言った。


彼は私が馬鹿だと言った。


私は家から出て行った。


彼もそうした...かどうかはわからない。



家から、坂を駆け下る。


そこには、通りの灯りがあるのだ。


決して多くない人通りに、身を溶かしてみる。


それからゆっくりと、暗闇の方へ歩いていく。



高速道路を見下ろす小さな丘があった。


佇んで、ヘッドライトの飛んでいくのを見ていた。


息を吐く。白い。


、と一言呟いた。


異様に快いリズムだった。

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