美人揃いの魔法使い一家、静所家と主人公である成行の交流が楽しいです。
成行のクラスメイトである見事は、勉強も運動もできる正統派美少女。
アリサは競輪とアルコール好きの見事のお姉さん。
雷鳴は、二十代後半にしか見えないのに二人の母親。謎が多いけど、超大物っぽい?
個性的な美人に囲まれた生活は、楽しいだけじゃない。
ある出来事から成行も魔法使いになりますが、そのきっかけも予想外。
「あれがきっかけだったの⁉」と驚かされます。
魔法使いとなった成行は、見事の弟子として魔法の勉強を始めます。
静所家の団らんの描き方が丁寧で、食事やお茶のシーンなど日常も楽しく見どころです。
魔法使いが人間に溶け込んで暮らしている設定も練られており、魔法使いの組織やルールなど説得力があります。
設定や日常を丹念に描写しているので、物語にリアリティがあります。
また本作には、作者様の知識も散りばめられています。
臨場感ある競輪場の描写や映画のパロディなど、知っている人が目にすれば思わずクスッとなるでしょう。
『ペルソナ・ノン・グラータ』シリーズの第一作として、ぜひ読んでほしい作品です。
文武両道、才色兼備、誰にでも優しいちょっと高嶺の花っぽい、クラスメイトの静所(おとなし)見事(みこと)さんはそんな女の子です。
本作の主人公である成行くんは、ある日の昼休み、誰もいない校舎北側の森で猫と会話する見事さんを見かけてしまいます。
自分は魔法使いだと成行に告げる見事さん、その言葉で過去に不思議な魔法使いと出会っていたことを思い出す成行くん、やがて伝説の『九つの騎士の書』を巡る、魔法使いの秘密組織と国外の特殊部隊による情報争奪戦に巻き込まれていく、謎と冒険のジュヴナイルです。
ヒロインの見事さんは、当初の少し近寄り難い雰囲気、秘密を共有してからの親しげな素振り、成行に魔法の力が芽生えてからのはりきりお師匠さまっぷりなど、とにかく可愛らしい!
同じ魔法使い一家のお母さんとお姉さんも、エキセントリックな魅力全開です!
高校生・岩濱成行は、ひょんなことから、同級生の美少女・静所(おとなし)見事(みこと)が猫と話しているところに出くわしてしまう。
そこから始まるボーイ・ミーツ・ガールのストーリィ……と思いきや、美少女・見事が魔法使い――魔女であることを知り、それが成行の十年前の過去に出会った「本の魔法使い」の記憶を蘇らせ――気がついたら成行が謎の男たちに拉致監禁されてしまうという怒涛の展開を迎える。
成行と見事、見事の姉・アリサや母・雷鳴の軽妙な会話のやり取りを見ているうちにはライトでポップと思わせつつ、魔法とは、魔法の本とは、という謎が重低音でストーリィに深い響きを与え、読む者にハラハラドキドキを与えてくれます。
主人公の成行もそうですが、見事、アリサ、雷鳴といったキャラクターも魅力的で、読んでいて楽しいです。
日常から、魔法使いがいる日常へ――それをリアルかつ面白く描いた、逸品です。