久々にお目にかかる傑作。映画に思えるシーンの連続です。

山深い里に怪しくともる赤提灯にしんしんと降る雪の光景が甦ってきます。
 
ミステリアスな男と女将、交わす言葉のやり取りひとつに臨場感が溢れてくる。
一瞬、幻想的で怪しげな世界観、殺人鬼の逃亡者と獣の化身の姿かな?
いつ本性を現すのかと思えて、ドキドキしながら読んでいました。

回想する情景描写も美しく、駅に降り立つ光景や沢を覗き込む姿はまるで映画のワンシーンの如く感じられます。
けっして美辞麗句を並べている訳でもないのに、流れるような筆遣い、お見事のひと言です。久々にお目にかかる傑作、ありがとうございました。

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