第3話 神様にだって邪魔できない!!!
此処、カクヨムさんでも、沢山の「物書きになりたい!」さんに出会いました。私は数年前まで本屋で働いていたのですが若者の活字離れをいつも店長が嘆いておりました。
その頃、丁度ライトノベルが盛り上がりつつあった時代です。私は昔ながらの純文学が好きで活字はこんなに良いのに…という想いがありました。
某サイトさんで、カクヨムさんにて色んなコンテストがあると知り、応募してビックリ!!!!だって、全然活字離れなんてあり得ない程の応募数ですもの!
しかも、趣味で〜とかそういう方より、本気で物書き目指してる!と言う方が多く、本当に頼もしく思いました。
さて、好きな事、と言うのは親であれ恋人であれ止めさせる事と言うのは不可能なモノです。ネットだったり煙草だったりお酒だったり…自分も止めたいのになぁと思ってる人でさえ止めるの難しいのにやりたい事なら尚更でしょう。
先日、私の職場で「命掛け」の本当の素晴らしさを眼にしたのでご紹介したいと思います。
彼は、某ゆるキャラの名前に似ていたので、ナースさんからそのゆるキャラの名前で呼ばれて親しまれていました。
彼は、高い所から落ちて頭蓋骨が1/3程欠けている状態でやってきました。
ぼーっと眼を開けているだけで声も発さない、そんな状態でした。
長期入院している子の中には無論、声が出せない状態の子は沢山居ます。中には表情を表す事も難しい子も…だから私達には特に、特別な子だという認識はありませんでした。
しかし、看護師長やドクター、理学療法士さん達は入れ代わり立ち代わり、彼に刺激を与えてみます。
ジブリの音楽を掛けたり、手の位置にタンバリンを取り付けられるような物を造ってきたり、ずっと話し掛け、笑い掛け、一時も眼を離さず、ナースステーションに彼を居させ続けました。
彼が入院して何日目かに、彼が「あ〜」と声を発しました。ナースさんも私達も大喜び!!ドクターまでやってきて、「やったじゃん!凄いじゃん!」と皆で感動しました。
それから暫くして、彼の、「あ〜」が「いや〜」と言う言葉だと判明しました。
ジッとしているのがイヤだと言うのです。
看護師長直々に車椅子を押して、病棟内を何度も廻りました。
今日の食事の献立を読んで聞かせ、すれ違う人の名前を教え、皆も名乗り、彼とコミュニケーションを取っていました。
彼の脳の快復は目まぐるしく、その翌日には私達の名前を呼んでくれたのです。
感激しました。
皆の名前を記憶していて、献立を読んで、好きな食べ物だと「ワ〜イ」嫌いだと「え〜…」と言う事も出来る様になりました。
介護用の曲がったスプーンを使えば自分で食事も出来ます。
車椅子に唯ボーッと座っていた彼が、左足と左手を巧みに使い動き回れる様になりました。右手と右足に後遺症が残りましたがそれでもだいぶ動かせる様になっていました。
元々動き回る事が大好きだった彼は一度は全く動けない状態になったものの、自分の運命を切り開くべく「やりたい事をやりたいまま」に出来る様になったのです!!!!
彼のやりたい事を邪魔する事は神様にだって出来ないんだ、と心の底から命の尊さに感激しました。
彼はナースステーションの冷蔵庫の中に、栄養が足りない子の為のポカリスエットが沢山ある事を知っています。
赤ちゃんの部屋には面白い玩具が沢山ある事も、悪い事をしたら大人が困る事も。
彼はどんどん自分のやりたい事をやりたいままにやり続けました。
お陰で彼に人手が取られ、ナースさんの仕事は増える一方。
付き添いのお願いを身内にするも、それにも限界がありました。
結局、整形が主のうちでは脳外科手術をしなきゃいけない彼が入院しているのは筋違い、という結論となり、大きな病院に転院となりました。
今、思う事は、彼がここまで機能快復したのは無論、彼の「やりたい!生きたい!」と言う気持があってこそだと思いますが、そのきっかけを与えたのは紛れもない、うちのナースさんやドクター、理学療法士さんじゃないかと思ったのです。
毎日話し掛け、動かない手に鉛筆を持たせ、目の前でタンバリンを叩き、歌を聴かせて、毎日同じ部屋で過ごす。
刺激とは大きな事だけを指すわけではなく、脳が、「!!???」と働く事だと思います。彼に、日常を過ごさせる。本当に良かったと思います。
悪い事も沢山したけど、ワガママも沢山言ったけど、私は彼の存在を、彼の力を、忘れる事は一生無いと思います。脳外科手術が終ったらもしかしたら戻ってくるかもよ、と聞きました。覚悟もしますがでも楽しみの方が大きいです。
やりたい事はどんな身体になったって、どんな状態だってやりたいよね。
良いんだよ、誰に遠慮が要るってぇの?
やってみな?やって良いんだよ。
駄目でも落ち込むな!君は今日で終りなんかじゃない。また、明日、チャレンジしよう!大丈夫!君がやりたい事を誰にも邪魔させないから…。
私、大概妄想中なんで、すぐには反応出来ませんから 伊予福たると @abekawataruto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私、大概妄想中なんで、すぐには反応出来ませんからの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
夢と現実最新/🌳三杉令
★79 エッセイ・ノンフィクション 連載中 37話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます