ボクの彼女はプロモデラー

アキヅキ

第1話視えてんの?

 私はここに勤めてから長い。

 というのも前の主人の小さい頃からやっているからだ。

 その主人はというともう立派な二児の父親で、毎日のように子供達に遊ばれている。

「わぁい。お父さんの負け!」


 家と繋がったこの店では騒いでいる声もよく聞こえていた。

「待って。お父さんのズボン返してよ」

 いくら人が来ないからと言っても下着でウロウロするなみっともない!

 勿論口には出さないが一応注意はしておかないとと振り返ると、

「きゃぁ」

 主人だけでなく全員だった。

 子供は言うに及ばす主人、奥さん、お母さんに至るまで。


ピシャッ


 一度私は店の扉を閉めて家に上がり、

「何やってんですか!?」


 それから私は何時間も人間様に説教をしてしまった。

 言い忘れていましたが、私は実は主人の作ったプラモデルなのです。


 本当はこんな風に説教できる身分ではないはずなのですが、あまりにヒドい惨状だったので口を挟まずにはおれませんでした。

「それでどうしてこうなった」

 もう敬語とかそういうものはすっ飛んでいて、怒りだけでした。

 きっと語調もキツかったことでしょう。

 子供達には逃げられて逃げ遅れた主人だけがその怒りを全身に浴びることに。


 自立稼働のできる私は永久機関を備えていて推定活動時間はあと数百は下らないだろうと言われています。

 それを可能にしたのが主人一人の功績とは俄に信じ難い姿を今、この男は!

「そんなに怒ると意識飛ぶよ?」

 うるさい!あ、、、


エマージェンシーコール


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「ほら」

 言わんこっちゃない。

 プラモデルなんだから熱には気をつけてって言ってたじゃん。


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ボクの彼女はプロモデラー アキヅキ @aki-2ki

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