NoTES短編物語集

@un-novel

第1話 ニーナと白い狐

それはある雪山の山岳地帯。


突如現れた銀色に輝く白髪の少女に魅せられた少年ニーナ。少女は森深くの山小屋に住んでいるらしく、2人は森の中で出会ってから徐々に親密な関係となり、距離を詰めていった。


だが実は、その少女は毎晩狐に化けて村に来ては一人ずつ人を食い殺している悪魔だった。そんな中でも少女もまた、人間であるニーナに心を寄せており、心に矛盾を抱えて葛藤していた。


ある晩、偶然襲った婦人がニーナの母親とは知らず、彼女を殺してしまう。悲しみに暮れるニーナの姿を見たことで、自分の過ちに気付いた狐。その姿が昔の自分そっくりだったからである。


実は少女の母親は、ニーナの父親に殺されて亡くなっていて、復讐として毎晩人を殺してきたが、自分のやってきたことがその人間と変わらないことに気づく。同時に少年も次第に少女の正体について疑問視するようになり、彼女の部屋の中にあった少年の母の指輪を見て彼女が狐だと確信する。


少女を、狐を殺そうと決めた少年は、しかしある日少女の方から呼び出される。この時に、殺してしまおうと思ったがその前に、最後に問い詰めることに。そして少女は自らが狐であることを暴露した。自らの過去とニーナに対する思いを告白した時、少年はもう引き金を引くことができなくなってしまった。


彼女を許し、共に生きようと決めた少年。しかしその後ろから無慈悲にも、一人の男が少女を打った。少年の父は少年の跡をつけていたのだ。そして息子が寝返ったと悟るとその瞬間息子の心臓も撃ち抜いてしまった。


悲しみと喜びに交互に苛まれながら父は帰ろうとした。がそのとき、まだ息のあった狐に最後、首を掻き切られてしまう。

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