死にたくなるからやめてくれ

臭いものに蓋をし続けると発酵して爆発するからさっさと晒してくれないか

エッセンシャルワーカーって口では誉めてくれるけど。

金、くれよ。

時間、くれよ。

ゆっくりと暖かい毛布にくるまって寝かせてくれよ。

わたしが見ているのは、汚物。

人の、身体から溢れ出てくる排泄物。

それから、愚痴。

どうにもならず思うようにいかない人生を呪うような言葉の数々。

それ、わたしも言いたいんだけど。

でも、わたしの選択は間違ってなかった。

わたしは10代の頃から楽しいだけのエンターテイメントを選んでこなかった。

あ、エンターテイメントなのに楽しくないなんて言ったら変かもしれないけど、たとえばベートーヴェンの交響曲を聴いて楽しさだけを感じる人間がいるとしたらそれは感情がどこか歪んでいるのであって、むしろ明るい旋律にも彼の生々しい苦悩が湧いてるのを感じるのが普通だろう。

だから、わたしが選んだロックバンドも、彼らが若い頃はリアクションのおかしい奴扱いでメディアに露出するときもMCやら芸人（なんの芸？）からイジられまくってた。

でも、30年経って、今はみんなが擦り寄ってる。

未来が大事と知れたなら

一じもへんじも片時も

急ぎて後世を願うべし

そういうエンターテイメントが、わたしは欲しい。

小説も、音楽も、漫画も、アニメも、映画も。

だから、スモークを張らないで。

煙幕を張らないで。

テンプレだらけの作品でランキングが埋め尽くされてしまったら。

掘り出せないんだ。

発掘できないんだ。

だから、もしこれから何か芸術をやろうと思ってる人がいたら。

わたしが見ている汚物や臭いものを、比喩じゃなく描いてよ。

歌ってよ。

異世界なんてカモフラじゃなくってさ。

ファンタジーなんていうオブラートじゃなくってさ。

ありえない戦闘シーンじゃなくってさ。

リアリティじゃなくってリアルそのものを描いてよ。

そうじゃないと、わたし。

わたしの見ている現実が絵空事のようだと否定されたみたいで。

死にたくなるから。