第1章「私の事象」その9
防具を着て、竹刀を持っていることは分かった。
こちらに気づいていないようだったので、私も気づかれないように携帯を探そうとした。
でも、彼女が竹刀で空を切る音は私の何かを引きとめた。
気づくと、私は彼女に近づいていた。
「誰?」
「…私に…剣道に教えてください!」
本当に恥ずかしかった、涙が出そうになった。
でも久しぶりに自分の本当の声を聞いた気がする。
「えっと、まず、あなたは誰?」
頭の上に大きな「はてな」が見えるほど、彼女の顔は私の言った言葉の意味を飲み込んではいなかった。
顔が真っ赤になった、そりゃそうだ。
一人で練習しているところに、いきなり声をかけたんだから。
「えっと、2年3組の佐々木茜です」
「どうして剣道を教えてほしいの?」
「えっと、それはですね…」
「敬語はやめて、私も同級生だから」
「そっか、えっと…」
「2年4組の宗則、
「佐々木さん、スポーツ経験は?」
「いや、まったく…」
そういった瞬間、彼女の眉間にシワが寄った。
初金星 淡女 @kuramaru1024
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。初金星の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます