第69話「もう少し考えてみようか」

※ 久しぶりの再開ッ ※

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  ─── 本編です ───



「……と、特に何も??」


 ずるぅ!!


「「なんもないんか~~~~~~~い!」」


 クラウス&メリムの突っ込み炸裂ぅ!……って、なんもなくて幸いなんだけどね!


「ん。ゴホンッ。無事で何より」

「……ビビってたくせに」


 ごすっ


「ごふぅ!」


 とりあえず、メリムに一撃しといて。


「だけど、時間差を置いて何か起こるかもしれないから気を抜くなよ? ステータスはどうな?」


 ゆっくりと目を開いたリズ。念のためステータスやら体調も確認。

 だが、今のところ、とくに体やステータスにも異常がなく、周辺にも変化はないらしい。


「ほ、ほんとか?!」

「う、うん」


 しばらくリズを観察するクラウス…………うん、可愛い。

 そして、様子をうかがっても、自動で白目をむいて歩きだすこともないことから、クラウスと同系統のそれ・・ではない。


「よし、メリム」


 ……チラリとメ目配せ。コクリとうなづくメリム。


「おう。……コホンッ。リズ、だ、大丈夫なんだよな? 僕がわかるか?」

「た、たぶん?」


 なんのことと言わんばかりにリズだが、矯めつ眇めつリズを観察すると、したり顔でうなづく。


「クラウス。僕のと同じスキルタイプでもなさそうだぞ?」

「ふむ……?」


 メリムが言うならそうなんだろう。

 なんか脳裏にビビビビとくることもないというなら、感知系でもない───?


 じゃ、いったいなんだ?


「ん~……、俺たちとは違うタイプか。……どう思う?」

「うーん、これだけじゃわからなくね?」


 まだまだ信用できないのか、クラウスとメリムはひそひそ相談しつつ、低く構えたままだ。


「ほんとのホントに何もないんだな」

「何か変なことがあったら正直に言えよ? 誰も怒らないからな!」


 ──う、うん。


「な、なにも……ない、かな?」


 そうは言われても、

 時間差を置いてドカーンと来たりするかもしれないので、しばらくドキドキしながら見守ることに──。


 …………。


 ……。


「「………………」」



 しーん



 しばらく、構えていたクラウス達であったが、本当に何も変化がないと知って「「ほっ……」」と二人して息をつく。

「なんだよクラウス。びびらせやがってよー」

「う、うるせーなー。警戒するにこしたことねーだろーが!」


 その反動で、ぎゃーぎゃーうるさいクラウスたちを尻目に、

 リズは、手をニギニギぱー。顔もさすさす。

 そして、クラウスを振り返って、


「うん、異常なし──────………………わ、わひゃぁぁぁああああああああああああ!!」

「うぉわ!」「ひぇぁ?!」


 調至近距離でリズの悲鳴を聞いて飛び上がると、思わず抱き合うクラウスとメリム。


「なになになに何の声ぇええ?!」

「だれだれだれ誰の声ぇぇえ?!」


 ──び、びっくりしたー!!


「リ、リズか?!」「び、びびったぁあ?!」


 ばっくん、ばっくん。


 心臓を抑えてクラウス達が深呼吸──まったく、いったいどこからそんな声が出るのよ?!

 仰天したクラウスたちであったが、リズはそんなことにも目もくれずプルプル震えて、クラウスを指さす──。


「わわわ……! おおおお、お兄ちゃん?」


 ん……?


「ど、どうしたリズ? 大丈夫か?」

「だ、だ、大丈夫じゃないよ!? 大丈夫じゃない!! お、おおお、お兄ちゃんこそ、大丈夫?!」


 へ?!


「お、俺? お、俺は大丈夫だけど──」


 ハッ!


 ま、まさか、スキルの使い過ぎか?!

 CPや魔力が急激に減少して、体調不良の『状態異常』でも発生したのか!?


「ち、違うよ!! そうじゃなくてぇ!! 違くてぇ!」

「いいから! 安静にしてろ!! い、いい、今すぐポーションを───え~っとどこだっけ!?」


 大慌てで道具袋を掻きまわすクラウス。

 あれでもない、これでもない──……!!


 あうあうあう!

 こういう時にすぐ出てこないんだよな───もぉぉお!!


 アップアップするクラウスと、「違う違う!」と、ワタワタと手を振ってクラウスの頭の上をスカスカと撫でるリズ。

 ホント、似た者兄妹であるんだが──。


「お、おい。クラウスは落ち着けって───リズもどうしたんだ? なんか見えるのか?!」

「う、うん!! ほら、そこ!! お兄ちゃんの頭ぁぁぁあ!!」


 ……頭?


「そうだよ、頭ぁぁぁあ!!……お、おおお、お兄ちゃんの頭!! 頭が変!!」




 がーーーーーーーーーーん!




「…………って───う、うぉぉぉおい?!」


 言うに事欠いて、兄の頭が変ですとぉぉお?!


「あ、あああ、そ、そうじゃなくてぇ! そうだけど、そうじゃなくてぇ!」


 どっちだよ?!

 え? 頭? 俺の頭って変だったの?!


「そうなのか?! メリム?!」

「いや、知らねーよ」


 思わず頭を抑えるクラウスに、ワタワタとフォローしようとしているリズ。


「違うの! そうじゃなくて! 頭!! 頭が何か変なのー!!」


 同じーーー!!

 行ってること同じぃぃぃいい!!


 そして、

「……ぶ、ぶははははははははははは! そうだ! その通り、コイツの頭は変──」

 ゲラゲラと笑い転げているメリム───。


 ──ゴンッ!!


「いっだぁぁ?! なんでぇ?!」

「アホぉ! むしろ、『なんでぇ?!』が、なんでか、なんでわからんねん!!」


 むしろ、「なんでぇ!?」が、なんで出んねん!!


 馬鹿メリムがッ!

 人様の頭を指さして笑うなぁぁあ! バーーーーーカ!!


「いや、だって! お前の妹も言ってんじゃん!!」


 リズはいいの!!


「なんでぇ?! 不公平じゃん!」

 当たり前だろうが!

 なんでリズとお前が公平やねん!

 社会ってのは不公平なもんなんだよ!!

「ばーか! お前がバーカ!!」

「バカって言ったやつがバーーーーーカ!!」


 馬鹿メリム馬鹿クラウスめ!


「ち、違うの! そっちの頭じゃなくて!! なんか、頭!! 頭が変になってるぅぅう!! クルクルまわってるぅぅう!!」


 ずるぅぅ!!


「リズ、だから、それ言ってること同じぃぃい。情報増えてないどころか、むしろけなしているよー! そして、お兄ちゃん、泣くよ?!」


 そっちの頭──って、どっちも頭やろがい!!

 しかもクルクル回ってるってなんやねん?!


 頭くるくるぱーってか?!


「ぶははは────ぶぎぃ!」


 ゴンッ!!


 だから、笑うなメリム!!


「いってぇなぁ! ゴンゴン、ゴンゴン、叩くなよー」


 もー。と涙目のメリムを無視してリズに話を伺うクラウス。


 っていうかね。

 ……いきなり、お兄ちゃんの頭が変とか言われたら傷ついちゃうよ──マイシスタぁ!


「ご、ゴメン。でも、ほら、これ──あれぇ? なんで、触れないよ?」


 いや、知らんがな?


 いったい何が見えているのか、

 クラウスの頭の上をスカッスカッと空を切る様に手で触れるリズ。


 彼女の視線もクラウスの頭というより、その上の数センチ上の方を見ているようだ。


「ど、どうした? なんか変か?」

「うん、変。お兄ちゃんが変なの」

「ぶふッ!」


 ───ジロッ!


 話が進まないので、メリムを黙らせつつ、

 クラウスも頭の上を見上げたり触れたりするが異常はない。


「も、もしかして、何か見えてるのか??」

「う、うん……なんか、変なものが浮かんでるの───スキルを起動してからかな?」


 へ?

 スキル??


 スキルって、リズのユニークスキルの【依頼の道標クエストマーカー】のことか?


「……へ、変なものって?」

「……んー? 何も見えねーけど?」







 メリムと顔を見合わせるクラスウであった……。




  ─────あとがき─────


当作品は小説版5巻、漫画版9巻まで発売中ッ!

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ダメスキル【自動機能】が覚醒しました〜あれ、ギルドスカウトの皆さん、俺を「いらない」って言ってませんでした? LA軍@多数書籍化(呪具師200万部!) @laguun

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