何だよ、このメタメタな状況?

@HasumiChouji

何だよ、このメタメタな状況?

 昨年末に小説投稿サイトに2本の短編小説を投稿した。

 一本は……一見、現実の日本の中学か高校に見える場所が……実は地球を侵略・支配した「何者か」が経営している「牧場」だ、と云う話だった。

 その小説の中に出て来る「黒毛和種」とは和牛の肉ではなく、「黒髪の日本人の人肉」で、「髪を染めるな」と云う日本の学校によくある校則に見えたモノは……黒毛=黒髪こそが「日本産の高級人肉」のシンボルだったから、と云うオチだ。

 もう一本は、自分では斬新な事をやってると思っているが、傍から見ると、古臭い作品を撮っているドラマ監督の悲喜劇だった。


 年が明けた……。

 SNSの自分のTLでは2つの事が話題になっていた。

 一つは、あるWEBコミックサイトで、藤子・F・不二雄の「ミノタウロスの皿」が期間限定で無料で読めるようになった事。

 もう一つは、Netflixでドラマ「全裸監督」の第2シーズンが始まる事だった。

 あれ……と云う気になった。

 昨年末に小説投稿サイトに投稿した2本の短編小説の内、一つは……内容からして判る通り、発想の元は藤子・F・不二雄の「ミノタウロスの皿」で……もう一つは「全裸監督」への個人的な違和感を言葉にしたモノだったからだ。

 もちろん、偶然だろう。

 「ミノタウロスの皿」が期間限定で無料で読めるようになったのは今年が丑年だからだろうし、「全裸監督」の第2シーズン決定は、色々と批判は有ったとは言え、あの作品が好評だったからだろう。


 そして、年明けに、もう1つ短編小説のアイデアが浮かんだ。

 ゾンビ災害……あの伝染病が日本で再び猛威を振い始めた時期である以上、何の暗喩かは言うまでも無い……で大変な事になっている世界で、ある架空の国の大統領が呑気な「新年の挨拶」をやってる間に、大統領府の職員がゾンビと化し……そして、下手に「外部からの守り」が固い場所であるが故に、その国の大統領府は「外に逃げられない牢獄」と化すと云う内容だった。

 すぐに短編小説にして、小説投稿サイトに投稿した。

 約一週間後、宮内庁職員の中に例の伝染病の感染者が居る事が判明し、天皇一家が例の伝染病に罹患していないか緊急検査が行なわれると云うニュースが報じられた……。

 実は……年末の二本の短編に続いて……自分の小説の内容を想起させる事が起きたのは三度目だった……。

 新年最初に投稿した短編小説の中での「架空の国の大統領」がやった「新年の挨拶」は……今年の天皇陛下の「新年の挨拶」をパロったものだったのだ。


 流石に恐くなってきた。

 ふと、俺が気に入らない政治家をモデルにしたヤツが酷い目に遭う小説を書いて投稿したらどうなるかを試してみようとした。

 ……が、結局やめる事にした。

 理由は2つ。

 1つは、結局は自分で納得の行く出来にならなかった事。

 もう1つは……いくら、気に入らない……俺にとっては「その内、こいつのせいで日本が滅びるんじゃないか」としか思えない政治家だとしても……俺のせいで人1人死んだかも知れない、と云う疑念を抱いたまま残り何十年か判らない一生を送っていく勇気など無かった事だ。


 気分転換に一本の短編を書いた。

 現実の日本に良く似ているが……スーパー戦隊や仮面ライダーのような変身ヒーローが居る世界で、変身解除が出来なり人間の姿に戻れなくなた正義のヒーローの悲喜劇だった。

 流石に、現実でこんな事が起きる訳が無い。現実には変身ヒーローなど居ないのだから。


 実は、あの伝染病の本格流行より少し前に、鬱で仕事を辞めていて……そして、伝染病流行のせいで再就職もままならず、派遣サイトに登録して、その日暮しの仕事で食い繋いでいる。

 今日の仕事は……ターミナル駅でのキャンペーンだ。

 あの伝染病による2度目の非常事態宣言の強化・延長が決まり、地元自治体の「ゆるキャラ」の着ぐるみを着て、不要不急の外出を自粛してもらうよう呼び掛けるビラを配る事だった。

「すいません。午後の担当の蓮見です」

 俺は、着ぐるみの近くに居た市の職員に声をかけた。

「あ……どうも……。じゃあ、今、着替えてもらいましょう。……どうしたの?」

「あ……あの……取れないんです……」

 着ぐるみの中から悲痛な声がした。

「えっ?」

「着ぐるみの首が取れないんです……」

「ちょっと待って下さい」

 1時間以上経っても、何故か着ぐるみを脱がす事は出来ず、その日のバイトはふいになった。

 脱げなくなった着ぐるみを着てたヤツが結局どうなったかは……何も聞いていない。


 偶然だ……そう思い込もうとした。

 だが……今、ある物語が降りてきた。

 そうだ……。まるで「何かが降りてきた」と云う形容がピッタリするような、突然、素晴らしいアイデアを思い付いたのだ。

 斬新だが、現実に起き得そうな人類滅亡もの。何故、これを今まで誰も思い付かなかったのだろう。

 しかし、もし……「五度目」が起きたとしたら……。

 だが、その疑念が心を支配しているのに、何故か、俺の指は一人でに動き……。

 画面上の送信ボタンを押…………

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