し、シスコン!

第10話 ストーカー行為

恋心ちゃんは強がっているが精神がそれなりに不安定の様だった。

俺はその様子に.....少しだけ複雑な顔をする。

今までずっと辛い思いをしてきたんだな、って思う。

だから涙を流したんだろうと思った。


「.....大丈夫です。私はもう」


「.....本当か」


「ええ。大丈夫です」


「.....」


母さんに言ってから恋心ちゃんの部屋に俺達は居た。

夢も心配して横に居る。

恋心ちゃんは俺と夢を見ながらグスングスン言いながら.....涙を拭う。

俺はその様子に.....恋心ちゃんの頭を撫でる。

そして夢を見た。


「.....恋心。大丈夫?」


「.....さっきよりかは大丈夫。有難う」


「俺も夢も居るから大丈夫だ。恋心ちゃん」


「はい。義兄さん」


そして涙を拭う恋心ちゃん。

それから、すいません落ち着いたので.....下に行きましょう、と言葉を発した。

俺はその言葉に頷きながら.....夢を見る。

夢も俺に頷いてきた。


「じゃあ行こうか。恋心ちゃん」


「はい」


「有難う。.....太一郎」


「励ましただけだぞ。俺は」


「.....それでも寄り添ってくれて有難う。何時も感謝してるよ」


俺は赤面しながら頬を掻く。

それから笑みを浮かべた。

その様子を見ていた恋心ちゃんが、はいはい、と割って入って来た。

そうしてから、行きますよ、と俺の腕を掴む。


「恋心は私と一緒だと嫉妬するんだね」


その事に恋心ちゃんを見る。

平然とした感じでこう答えた。

当たり前だよね、みんなのお兄ちゃんなんだから。

と、だ。

俺は溜息を吐きながら.....恋心ちゃんを見る。


「だからお姉ちゃん。あまりベタベタしないで」


「オイオイ。恋心ちゃん.....」


「アハハ。だね」


俺は冷や汗を流す。

あまりキツく言うと恋心ちゃんとの関係がバレると思ったが。

夢はそれなりに受け流した。

俺はホッとしながら.....恋心ちゃんを見る。


「じゃあ行こうか。みんな」


「そうだね。お姉ちゃん」


それから下に行ってから俺達は飯を食った。

母さんは待ってくれていて高末さんも上がって来ていて俺達は楽しくご飯を食べる。

そうしてから.....俺は2階に上がると。

部屋に夢がやって来た。



「太一郎」


「.....どうした?夢」


「有難うね。本当に。私達姉妹に寄り添ってくれて」


「俺は.....お前らの兄貴だしな」


「.....同学年だけどね。アハハ」


夢は苦笑い。

まあそうだな。

でも守りたい気持ちは変わらないから。

俺は言いながら夢を見る。

夢は、でね。私.....ちょっと言いたい事があって、と言葉を発する。


「何だか最近、人に見られている気がして」


「.....え?それはどういうこった」


「.....そのままの意味なんだけど.....人にずっと見られている気がするの」


「.....」


顎を撫でる。

思い付く人物は山代しか居ないんだが。

だけどアイツそんな真似をするとは聞かないが。

あくまで直球で手出ししてくるから、だ。

こんな姑息な真似はしないだろう。


「.....それは男か?女か?」


「.....男の人だね。何だか気持ちが悪い」


「.....分かった。今度.....一緒に帰ろう。夢。それから対応したら良いんじゃないか」


「だね。宜しく。.....何だか.....視線がキツイし.....うん」


視線がキツイとはこれは一大事だな。

俺は真剣な顔で真正面を見つめる。

それからまた顎に触れた。

そして.....俺は明日を想定して動き出す。


「.....取り合えずそのストーカー野郎をとっ捕まえよう」


「.....だね」


「飛鳥にも協力を仰ぐか.....」


「飛鳥君?大丈夫かな」


「大丈夫だと思う。アイツだし」


俺は飛鳥に連絡する。

すると飛鳥は、よし。ボコボコにすっか、と返事をくれた。

そこまでする必要は無いが。

俺は、控えめに宜しく、と協力をあおる。


「取り合えずこんなもんじゃないか」


「.....だね」


「飛鳥は許さんだろうな。そういうの。.....アイツ、姑息な真似が嫌いだしな」


「そうだね」


それから俺は夢の頭をポンポンした。

そして窓から外を見る。

そうして.....翌日になった。

放課後になる。



「.....確かに何か付いて来てるな」


「.....でしょ。何でかな」


放課後に一緒に夢と帰る。

飛鳥には俺とは関わり無い様な感じでその男の背から付いて来ている。

パーカーを被った野郎だ。

それから飛鳥に指示を出す。

ポケットでスマホ通話にして、だ。


すると飛鳥が動いた。

そしてその男に声を掛ける。


「な、何だお前!?」


「うっせ!お前、前の奴をずっと付けているだろ!どういうこった!」


俺達も駆け寄る。

それから.....パーカーを脱がすと。

そこには男子中学生な感じの男が現れた。


坊主頭に.....眼鏡を掛けている。

何だコイツ?

すると早速、飛鳥が絡んだ。

睨みつつ、である。


「オイコラお前。ストーカーって言葉知ってるか?.....ぶっ飛ばすぞ」


「.....俺は.....」


「君は何だ?.....ストーカーとか最悪だぞ」


飛鳥と俺で二人がかりで捕まえる。

すると.....その男は俺をキッと睨んできた。

それからこの様に言い放つ。


「.....俺は.....お前が憎い。藪雨太一郎」


「は?」


「俺は山代幸奈の弟だ!.....何だって姉ちゃんをイジメる!俺の大好きな姉ちゃんを!」


「い、イジメるってお前.....。好きって.....」


シスコン?

しかしとんでもない認識だな。

弟もビックリだがいきなりなんだ.....イジメてねぇよ。

思いながら俺は顔を引き攣らせる。

っていうか目的は。


「俺は姉ちゃんをイジメられたからお前から大切なものを盗んでやろうと思った。だからつけていたんだ」


「それでか.....」


「新島夢が憎いって話だから。それもあってだから」


「クソガキのとんでもない誤解だな」


飛鳥は盛大に溜息を吐いてから。

それから俺を見つめる。

どうする、的な感じで、だ。

困ったもんだな.....。

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義兄さん。私は貴方が好きですよ。だから.....ね? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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