季節感を感じさせない秋のお話1

 蒸されるような暑さも収まり、生茂る木々が紅く染まる時期になりました。いかがお過ごしでしょうか、田舎のお父様お母様。突然ですが私の家政婦さんがとても可愛いです。


 え?いつも言ってる?それはもう勿論です。毎分毎秒、私の!この私の!家政婦さんの可愛さは変わります!故にその都度報告させていただきます。


 それはこの間の事です。私の!ワタァ↑クシ↓の!↑家政婦さんが買い出しに行った時の事でございます。



 



ーーーーー

ーーー






 奏さんの荷物持ちになるべくスーパーに同行した私。本人はそれほど買い出しする事も無いし、雇い主さんに荷物を持たせるわけには… と言ってはおりますが、どこの誰が奏さんを狙っているか心配なので私は同行致しました。



 いつストーキングする?私も同行しよう。

 彩音院!




 なんてふざけたことを考えながら奏さんと話を楽しむ至福のひと時。スーパーに着く直前、何故か奏さんが止まったのだ。




 「奏さん?どうしたんですか?」



 「……」



 どこかぽーっとしている奏さん。その視線の先には何と…



 「焼き芋ですか」



 元気に走り回るボビン君の姿が! …ではなく焼き芋の屋台があったのだ。



 「確かに焼き芋は美味しいですよねー…あの、奏さん?」



 「…あ!その、焼き芋が大好きで… えへへ、気になっちゃって…」



 頬を赤く染め答える奏さん。肌が白いから余計目立つんだよね、慌ててマフラーで隠してるけど、モコモコで顔を隠すヒロインって凄い可愛いと思うの。



 可愛い×頬染め×顔隠し×食いしん坊=破壊力って、どこかの誰かが言ってたわ。はい、私です。



 「もう秋ですしね。確かに焼き芋が美味しい時期です」



 「そういえばまだ焼き芋食べてないなぁって…それでついつい…」



 なるほどね、これは私の好感度を上げるチャンスだわ。ここでこう…




 『ほら、奏さん。焼き芋、買っておいたから一緒に食べよう』

 


 『彩音さん!素敵!』



 

 甲斐性や漢らしさをアピールする絶好の機会!いや私は漢じゃ無いけど!漢女じゃ無いんですけどね!



 乗るしかねぇこのビックチャンスに!さあ!何本でもおじちゃんが買ったるで!グゥェヒヒ!




 「ごめんなさい!お買い物済ませないとですね」



 「え、あ、そうですね…」




 確かに食べ歩きとか店内じゃダメだもんね… 焼きたてが美味しいもんね… 熱々はすぐには食べられないもんね… はい





 さて、なんやかんやあったところで入店した私達。




 「奏さん、今日は何を買うんですか?」



 「そうですね、茄子が美味しい季節ですし麻婆茄子にしようかなと。あとはきのこ汁ですかね。食パンもお家に無かったので買うのと、ティッシュ、トイレットペーパーも買っておかないと。ちょうどどれも特売らしいので早く買わないとですね」




 「なるほど!でしたら野菜はお任せください!」



 ここで手早く商品を持ってくることでな…




 『フッ… 奏さん、御所望の物はこれで全部かい?』



 『彩音さんスマート!嫁がせて!』




 ってなる寸法よ。いやー私イケメンすぎるわー、どこぞの会社のイケメンよりイケメンだわー!



 今の私には情熱、思想、理念、性癖、愛、優雅さ、そして何よりも…速さが足りない!



 私の性癖細胞がトップギアだ!ひとっ走り任せろよ!奏さんの為なら何だってしてやるぜ!アァァァクセルシンクロォォォ!!!



 周りの主婦の誰よりも速い徒歩で売り場に向かった私であった。

 




ーーーーー

ーーー






 無事売り場に着いたが何だこの戦闘力は… 10… 20… バカな!まだ増えるだと!なんて人の数だ… もうダメだ…勝てるわけが無い…売り場からはたくさんの叫び声が聞こえる。




 「それは私のよ!」 「貰ったぁ!」 「コノシュンカンヲマッテイタンダー」

 「こいつは俺のもんだ!寄越せ!」 「マモレナカッタ…」「ジュウエン!」

 



 これに飛び込めたいうのか… 果たして私は生きて帰れるだろうか…

 弱気になってどうする!私が勝ち取らなければ今日の夕飯が無くなるのだぞ!奏さんの、奏さんの好感度の為!いざ参らん!




 「う、うぉぉぉぉぉぉ!!!」




 無事買えたら私、奏さんに告白するんだ…








 to be continue…


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私が家政婦さん雇ったら男の娘が来た 嘯風弄月 @scarlet8901

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