1行でその場の恐怖に取り込まれ、ヒィッと言えてゾクッとさせられました。顔も、人に見せられない表情に……一瞬で恐がりたい方には特におすすめです。
たった一文で恐怖を想像に任せるという発想が素晴らしい、僕も色んな場面を思い浮かべた。新しいタイプのホラーを感じた。
人の恐怖を揺さぶる一言。言われてみて初めて「あっ!そうだったよね」と思い出すもんです。あとはそこから周囲の状況、当人の心情を創造(想像)するのも楽しいですよ。いがいとこういう試みをした人っていなさそう。作者様の先見の明が怖いです(良い意味で)。
怖い話の怖いシーンだけを切り取っています。怖い話をたくさん知っているひとは、その一文から想像を膨らませそうです。 では、怖い話に興味がない人ならどう感じるのでしょう? というわけで、ホラーが苦手な知り合いにきいてみました。「具体的に書いていないから読みやすかったです。余韻の残る一文かと思いきや、意外と抽象的でした。初心者向けですね」 初心者向け。たしかにその通りです。僕もあまり怖い話を読まない人にオススメします。
いくつもの擬音を、一文によって恐怖を演出する。そしてそれは怪談・悪意という二つのジャンルによって追求されており、ただ不気味な文言を並べて良しとしているのではないのが、本作の魅力。私自身もそうだが、ややもするとレビューなどにおいても、語彙でまくしたてるのを時には無意識に行っているだろうが、本作は「恐怖はたった1文で。ホラーの究極形を求めて。創作表現の研究。」と宣言し、それを読者に提示してみせる。