第33話 おまけの後日譚

「……で?」

「ん」

「それで新入りは、アカ姉をちゃんと笑わせられたん?」

「さあ、どうだったかな」

「むー。……なぁー、教えてぇな。

 なんなら、夜食でも食べるか? 今夜は良い月だぁ。月見団子も悪ぅない」

「じゃあ、一つだけ、ヒント」

「……?」

「アカネは最後に言ってたんだ。『あたしは月を壊した後、誰もが同情して、全ての罪が許されるくらい悲劇的な最期を遂げるの。それがあたしの最期の贖罪。これがあたしの生きる意味』って」

「……それって。……そんな……」

「でもさ。俺だって少しはオトメゴコロってやつを学んだんだぜ。

 そんなことをわざわざ、俺に言い聞かせるってことは……きっと、ってことだよ。

 違うかい?」




 空には茜色の月が輝く。

 今宵は、時が止まったような静寂があたりを包むだろう。


 こういう夜は、こんな穏やかな時間が、永遠に続くような気がしてくるのだ。




                                                                三章 了

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月は無慈悲な紅き女王 蒼蟲夕也 @aomushi

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