第33話おまけ2
突如始まった謎のミス晒し大会。
手紙の三枚目は、薬屋のミスだ。
「はよ、はよ」
「落ち着けって……ってか、自分のミスを自分で話すってなかなかの罰ゲームでは?」
「薬屋には物足りないぐらい」
「俺の業が深すぎるんだよなぁ……っというわけで、このシーン、まずはOKのほうから!」
↓↓↓
「おはよう。灼熱の剣鬼くん」
「おはよう……ってそれ誰から聞いた?」
「そこにいる怖い顔のおじさん」
おじさんの方を見ながら言った。
「あのおっさん俺が恥ずかしがってることをわかっててこいつにいいやがって……。恥ずかしいし、お願いだからそれで呼ばないでくれよ」
やれやれと、薬屋は肩を竦めた。
やっぱり、灼熱の剣鬼なんて、柄じゃないなこいつは。
火魔法だってちゃんと見たことないし。
魔法といえば、俺はまだ魔法が使えない。
基本的に適性は髪の色でわかるらしく、赤火、青が水、茶色が土……といった風になっているらしいが、アイボリー……薄めの黄色みたいな色の適性は未発見らしい。
確かに街を見てみてもこの色の人は一人もいなかった。
まあ、どんな魔法が使えるかは後々のお楽しみってところだ。
一ヶ月も経ってくるとこの体にもうすっかり慣れた。
体を拭くだけでヒイヒイいってたちょっと前の俺とは違うのだよ。
まあ、まだ声は出るのだが、精神的な抵抗感はだいぶ薄れた。
そんな、一ヶ月目の日のことだ。
「一ヶ月もたったってことで、そろそろ下の階層に行こうと思うんだが、いいか?」
「よゆー。むしろ、待ちわびた」
「そういうなよ。冒険者のことを全然知らないから、それを教育する意味を含めての一ヶ月だったわけだし」
「戦闘能力的には、問題ない?」
「問題ないどころか120点だな。毎日毎日よくもまああんなに魔物を煎餅にしたもんだ。魔晶石はいつ売り物にならなくなるんだろうと思ったよ」
↓↓↓
『よゆー。むしろ、待ちわびた。』のシーンか。……それにしてもミスした記憶も薬屋がミスしてた記憶もないんだよなぁ……
「で、ミスシーンは?」
「まあまあ、落ち着けって。では、ミスシーンのほう、どうぞ!」
↓↓↓
「おはよう。灼熱の剣鬼くん」
「おはよう……ってそれ誰から聞いた?」
「そこにいる怖い顔のおじさん」
おじさんの方を見ながら言った。
「あのおっさん俺が恥ずかしがってることをわかっててこいつにいいやがって……。恥ずかしいし、お願いだからそれで呼ばないでくれよ」
やれやれと、薬屋は肩を竦めた。
やっぱり、灼熱の剣鬼なんて、柄じゃないなこいつは。
火魔法だってちゃんと見たことないし。
魔法といえば、俺はまだ魔法が使えない。
基本的に適性は髪の色でわかるらしく、赤火、青が水、茶色が土……といった風になっているらしいが、アイボリー……薄めの黄色みたいな色の適性は未発見らしい。
確かに街を見てみてもこの色の人は一人もいなかった。
まあ、どんな魔法が使えるかは後々のお楽しみってところだ。
一ヶ月も経ってくるとこの体にもうすっかり慣れた。
体を拭くだけでヒイヒイいってたちょっと前の俺とは違うのだよ。
まあ、まだ声は出るのだが、精神的な抵抗感はだいぶ薄れた。
そんな、一ヶ月目の日のことだ。
「一ヶ月もたったってことで、そろそろ下の階層に行こうと思うんだが、いいか?」
「よゆー。むしろ、待ちわびた」
「そういうなよ。冒険者のことを全然知らないから、それを教育する意味を含めての一ヶ月だったわけだし」
「戦闘能力的には、問題ない?」
「問題ないどころか120点だな。毎日毎日よくもまああんなに魔物をクッキーにしたもんだ。魔晶石はいつ売り物にならなくなるんだろうと思ったよ」
「え、クッキー?」
↓↓↓
地味!とんでもなく地味なミス!
「……面白くない」
「いや、こんな小さなミスをさらされるの、なかなかに地獄だぞ」
「ざまぁ」
「だから俺はどんな業を背負っているって言うんだよ……?」
思った以上に面白く無いミスだった。次もこんな感じか?つっまんねぇ。
もっと面白いのにして?
「次は面白いといいですねっと。じゃあ、次のミス、まずはOKシーンからどうぞ!」
↓↓↓
「そこまでするほどじゃない」
「いーやするほどだね。そもそも体格的にお前がこのサイズのハンマーを持つのはどう考えてもおかしいんだよ。俺ですら持ち上げるのがギリギリなんだから」
ちなみに移動中の現在、ハンマーはズルズルと引きずって歩いている。
歩いた後に深い線が引かれていて、いかにこの武器が重いかがわかる。
「おかしいことをしてる以上、体のどっかに負担がかかっててもおかしくない……どころか、かかってないとおかしいぐらいだ。むしろなんで一ヶ月何もなかったのか不思議だよ」
「それは固有スキルがあるから、筋力が上がってて……」
「筋力値が高い奴ってのは普通はもっと筋肉質なのにそうじゃないお前の体がこんなクソ重い武器を思いっきり振り回せてるっていう矛盾があるから、今後何が起こってもおかしくなくて怖いって言ってんの。なんなら今ここで腕とかが爆発四散しても納得できるわ」
「そんなに?」
「そんなに」
「……わかった」
そんなに言われてしまえば、引き下がらざるを得ない。
たしかに、この世界に来てから戦闘ばっかりで街を巡ったりしていない。
明日はぶらり町歩きでもしようではないか。
「まあ、途中でドロップアウトされるのが一番困るから、体は大切にってことだ」
「ところで、話は変わるんだけど」
俺はこの話の流れで、今まで気になっていたことを聞いてみることにした。
「なんで武器買ってくれて、一緒に狩りにきてくれてるの?」
正直、ずっと疑問だった。
悪意があるようには見えないし、とはいえ利点があるとも思えない。
武器の代金を肩代わりして借金を払い終えるまで冒険の手伝いをする、なんて薬草納品をしてるような小さい女の子に持ちかけるような話ではそもそもないのだ。
しかし、今おぶわれてる状態でも、下心とかは感じない。
だから、わからない。
なぜ俺に話を持ちかけたのか。
「……俺なりに考えあってのものだ。時が来たら話すよ。それに、お前に嫌な思いをさせるようなことではない」
↓↓↓
『み、妙ちきりん……?』のシーンか。
かなりシリアスなシーンだけど、こんなところで面白いミスなんて、するのか?
「まあ、これは普通だよな、では普通ではないミスシーン!」
↓↓↓
「ところで、話は変わるんだけど」
俺はこの話の流れで、今まで気になっていたことを聞いてみることにした。
「なんで武器買ってくれて、一緒に狩りにきてくれてるの?」
正直、ずっと疑問だった。
悪意があるようには見えないし、とはいえ利点があるとも思えない。
武器の代金を肩代わりして借金を払い終えるまで冒険の手伝いをする、なんて薬草納品をしてるような小さい女の子に持ちかけるような話ではそもそもないのだ。
しかし、今おぶわれてる状態でも、下心とかは感じない。
だから、わからない。
なぜ俺に話を持ちかけたのか。
「……俺なりに考えあってのものだ。時が来たら話すよ。それに、お前に嫌な思いをさせるようなことではない」
「……本当に?」
「ああ。なんなら宣誓書でも書いていいぐらいだ」
「じゃあなんで教えてくれないの?」
「……俺が、お前を完全に信用できるまで、待ってくれ。俺には妹がいて、その妹は俺の冒け……」
「話過ぎ話過ぎ!」
↓↓↓
いや口軽すぎぃ!?
もうこの時点で妹がいることしゃべっちゃってるし!しかもその先に話に出てきてないところまで出てきちゃってるし!
「力が入りすぎちまってな」
「うん。面白い」
「そりゃ、よかった……のか?てか、俺の過去の話ってどうなるんだろうな」
「多分、作者のやる気による」
「くそっ!これが伏線回収されたものの余裕か……作者―!がんばってー!めっちゃ頑張ってー!」
「うるさい」
「こっちは必死なんだよ!?」
へ、焦ってやがるぜ……愉快愉快。さて、作者は薬屋の過去を書けるぐらいまで物語を更新できるのかな……?なんか、もう完結にしてるけど、こいつ完全に伏線回収する気ないよなぁ。
ま、いいか。俺は終わってるし。
……終わってるよね?
「とりあえず、これで書かれてるミスは終わり……」
「ん?どうしたの?」
変なところで、薬屋が動きを止めた。
一秒、二秒、三秒……
「はっ!?俺は今何を……?って何この紙、ええっと、『あったら面白いと思う』……」
「どれ?……『あったら面白いと思うミスシーン集』……」
「……」
「……」
「「やっぱりこんなミスなかったのかよっ!?」」
女性に近づけない俺が女性になって異世界に行ったらーなんか長文のタイトルであればあるほどランキングいける気がしたからつけてみただけ― ちなまるり @sasasaasasaa5114
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。女性に近づけない俺が女性になって異世界に行ったらーなんか長文のタイトルであればあるほどランキングいける気がしたからつけてみただけ―の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます