糾 代償と継続

 正月が過ぎて二週間が立っただろうか。

 何か自分に特別な出来事は、幽霊にあった以外を除いて、何も無かった。

 むしろ、怠惰にも何もしなかったと答えるのが正解だろう。

 ただ、仕事をして、上司に遠巻きの煽りを受け軟弱精神をむき出しにしたことを咎められたりぐらいだろうか・・・・・・。

 ああ、小説もあれから書いてなく、読む方も少なくなっている。

 今日、なんとなく小説を書いている理由は、仕事上で二連休を取得することが出来たからだ。

 それで、なんとなく自分の小説を読み返して、つまらない作品というか、滅茶苦茶だなあ、と感じた。

 こんなモノしか書けないのなら、むしろ止めてしまおうとも思う。

 諦めというよりかは、そもそも小説を書くのが向いていないと感じてしまう。


 なんとなく、投げやりなこの文章を小説に書くなんて、ダメだろうと思いたくはなるが、そうせざるを得ない。

 どうしても、書かないと進まないような気がしたから。そもそも、この小説は本物であり、自伝なのだから、書いて何が悪い。

 文句があるなら、タグにノンフィクションだって付けてやらぁ――と思いたいが、僕の小説に文句を言うほどの読んでくれる人などいないのだから、そんな事はどうでも良いのだ。


 はあ、他に趣味でも見つけるべきか。

 と言っても、僕には才能がないのだから、新しい趣味などないのだ。


 こんな内容で本当に次のエピソードを書いて良いのか・・・・・・。

 読者なんていないのだから、良いのだ。


 僕はキーボードから手を離すとスマホを手に取った。


 なんとなく、大手SNSを開き、世界中のつぶやきを眺めていた。

 知らない誰かが嬉しい出来事を呟いている。

 知っている変態の悪友が社会に対して、不満を言う。

 

 世の中は今日も幸せと不満で出来ている。

 全て見るのが面倒くさくなり、更新ボタンをクリックする。


 すると目に飛び込んできたのは、風景の画像を投稿だった。

 どれも綺麗に撮れている写真ではないか。

 投稿者は誰だろうと思ったら、後川のアカウントだった。


「なんだ、アイツ。以外と良いもん撮るじゃねえか」

 僕はまだ、誰も評価を押されていない後川の投稿に良いねボタンを押した。


 こんな些細な評価でも、本人には嬉しいモノだ。

 特に、僕はされたら嬉しい。喜ばない人など、よっぽどの変態だ。


(だから、今すぐに良いね評価を押せ・・・・・・)



 ************************************


 


 昨日は何をしたのだろう。

 ただ、時間を無駄にしていたのではないか?

 本当に僕は昔から変わっていない。

 穴の開いた器だ。

 変わったとしたら、穴の開いた所から時間に加え、金まで流れて言ってしまう。


(仕事を辞めてえ)


 本当にこんな人生ストーリーで良いのか? 

 本当の脚本やりたいことを投げ捨ててまで、こんな滅茶苦茶なモノで良いのか?

 本当なら、幽霊じぶんと戦った話しを書くべきなのに、何故書かない。


 だって、意味なんて変わらないのだから・・・・・・


 今日は寝よう。寝たら、またあの人に会えるのだろうか。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラフカディアのブラインドコンプレックス――夢の続きでも彼女はまた現れる 無駄職人間 @1160484

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ