第2話 私の飼い主の彼女がビッチすぎるにゃ!
一緒に暮らしている
「大好きだよマリー」
毎日、私をお姫様抱っこして、いっぱいキスしてくれる
私の真っ白い毛並みとフサフサの尻尾を、幸せそうに撫でてくれる
大好きすぎて興奮しすぎたみたい。指を舐めてたら、勢い余って
◇◇◇
ところが
浮気をして出て行った、
「
大きなトランク一つ持ってマンションに来た元彼女は、部屋の中を確認するように見回した。そして、なんと私の目の前で、
「香織、次はないから。今度浮気されたら、俺も許せる自信がない…」
「ごめんね
だが元彼女は話終わるよりも早く、
抱きつかれている
◇◇◇
元彼女と初めて会って日のことは、鮮明に覚えているにゃ!
あの日、
直ぐに嫌な予感は的中した。
◇◇◇
そんなわけで、
「にゃー!にゃー!にゃー!」
『この女はダメだよ! 気づいて
「どうしたマリー? 腹が減ったのか?」
「にゃうー!にゃうー!にゃう~!? にゃにゃっ!」
私の頭を撫でてくれる
私は悲しくなって耳をペタンとして項垂れた。すると、元彼女が話かけてきた。
「大事な話をしているから、邪魔しないでね猫ちゃん」
元彼女はそう言うと、私をウザそうに睨んだ。
バリッ!、邪魔なのはあんたのほうにゃ~!
「きゃあ!? この猫またストッキング破いた! コレ高かったのに~!」
私は腹が立ったので、ストッキングを破いてやった。すると元彼女はキンキン声で怒りだす。
始めて出会った日からずっと、私はこの女が家に来るたびに、ストッキングを破いてやっている。でも怪我はさせていないわよ、そんなことしたら、
怪我はさせずに、上手にストッキングだけを破く。そうすると、ちょっとだけ溜飲が下がるのだ。
◇◇◇
転がり込むように戻ってきた元彼女は、すっかり部屋に居ついてしまったにゃ…
大学というところに
『
私は二人の復縁を渋々ながらも、認めてやることにした。
◇◇◇
その日は
「え? 今、彼氏は家にいないよ、話してても大丈夫だよ~あはは」
自室の部屋のベットでゴロゴロしながら、スマホで話している元彼女。私は開いているドアの隙間から部屋へと入っていく。
「うん、そうそう、当面の住むところゲットできたから心配しないで。早く新居見つけてね、一緒にいれないの寂しいよ~」
元彼女はやはり二股しているようだ…。会話を聞いてしまった私はかなり頭にきていた。
『
バリッ!バリッ!バリッ!、バリッー!
「きゃあ!? このクソ猫! このバック高かったのに~!」
私は腹が立ったので、元彼女のお気に入りのバックで爪を研いでやった。
◇◇◇
元彼女と私がそんな攻防を繰り広げる中。程なくして、浮気は
「香織! 今度浮気したら次はないって言ったよな?」
元彼女の三度目の浮気に、さすがに
『そうにゃ! ガツンと言ってやるのにゃっ!』私は伸一君に声援を送った。ところが元彼女は強かった。
「そうだね伸一、じゃ別れよっか…?」
反省するどころか、その美しい顔に余裕の笑顔を浮かべて、伸一君に別れを切り出してきたのだ。
「香織と別れたくないんだ、捨てないでくれ…」
目の前で仁王立ちし冷たく別れを告げた元彼女。その足に縋るように手を伸ばす
そんな姿を見ていたら、私は心が痛くて堪らなくなった。
「ごめんね伸一、もう新しい彼氏いるんだぁ、彼と結婚するかもしれない」
幸せそうに惚気る元彼女の言葉に、物凄く傷ついた顔になる伸一君。ついに私に堪忍袋の緒が切れた。
バリッ!バリッ!バリッ!、バリッー!ビリッ!
「きゃあ! このクソ猫! これからデートなのに~!」
私は元彼女のストッキングをビリビリに破いてやった。本当はその綺麗な顔に思いっきり爪を立ててやりたいぐらいよ…。
どうやら紐パンの紐が、無事に切れてパンツがずり落ちたようだ。さっき、ストッキングを破くついでに、こっそりとパンツの紐に爪を立ててやったのだ。ふふ、ざまぁ! ノーパンで帰るといいわ
◇◇◇
元彼女がいなくなった部屋で、
「にゃっ?にゃっ?」
私が大丈夫?と声をかけても、返事をする気力もないようだ…。だが、無言で伸びてきた手が、私の背中を撫でてくれた。こんなときでも伸一君は優しい…。
『泣かないで
私は声を大にして、
飼い猫はね、ご主人様が大好きなの! 見返りなんかなくったって、いつでもいつまでも全力で飼い主さんを愛してるのにゃ!
私は
◇◇◇
―5年後。
「なぁ琴子、マリーにストッキング破かれたことある?」
「え? ないよ。マリーがそんなことするわけないじゃん伸一君」
「そう…だよな」
伸一君は、彼女の琴子にそう訊ねる。すると琴子は可笑しそうに、弾けるような笑顔で笑い出した。
「ね~、マリー!」
「にゃぁ~ん!」
そう声をかけ、私を優しく抱き上げて頬ずりしてくれる琴子。私は大好きな琴子に甘えるように、声を上げて答える。
私と私を抱きしめる彼女の琴子を、愛おしそうに見つめる伸一君。
「マリー、ありがとな、俺に気づかせてくれて」
不意に小声で、伸一君が私にお礼を言ってきた。背後に回した片手には、プロポーズ用の指輪が入った箱を握りしめている。
「うにゃ~ん!」
私は応援を込めて、ひと鳴きした。
ここまで長かったね伸一君、今度は幸せになれるよ、さぁ勇気を出して!
あれから5年、私は伸一君の連れてきた彼女たちのストッキングを次々と破き続けた…。
でも、もう
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